皆さんは、コーヒーを選ぶときに「品種」を意識したことはありますか?
コーヒーの品種は、焙煎度や精製方法などと比べると軽く見られますが、味わいの幅を広げる重要な要素です。
お米やジャガイモなどを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません!
コシヒカリとアキアカネ。
男爵薯とメークイン。
これらは甘さや食感、後味などで違いを感じれます!
コーヒーを始めたばかりの人は、少し難しいイメージを持たれるかもしれませんが、コーヒーの楽しみ方が大きく広がるので何種類か覚えてみるのがおすすめです。
今回の記事では、コーヒー豆の品種の中でも、希少性が高く、ユニークなフレーバーを持つ「シドラ」について解説します。
他の記事では、「シドラ」と並んで今話題になっている「ピンクブルボン」「ユーゲニオイデス」について解説しているので、ご一緒にご覧ください。
コーヒーの希少品種「シドラ」とは?
シドラはエクアドルで発見された、新しい品種です。
現在ではエクアドルとコロンビアで主に生産されています。
一部では「ネクストゲイシャ」などと呼ばれているくらい、味わいの評価が高い品種です。
この項目では内容を以下の3つに分けてお話ししています。
- エクアドルのコーヒー生産について
- 品種の成り立ち
- 名前の由来
エクアドルのコーヒー生産について
エクアドルでは1800年代後半にコーヒー栽培が始まりました。
スペシャルティコーヒーの歴史(2000年前後)は浅い方ですが、意外にもコーヒー栽培自体の歴史は長いです。
そんな歴史あるエクアドルのコーヒー産業ですが、1990年代に「さび病」が蔓延してしまったことで、危機的な状況になってしまいます。
元々、コーヒーの栽培量自体が少ないので、生産は低迷してしまったそうです。
そんな背景がある中、農園の方々の努力と「ターサ・ドラーダ」の継続開催などにより品質の改善に努めたことで、2021年にエクアドルで初めて「COE(Cup of Excellense)」が開催され、世界中から注目される産地となりました。
※ターサ・ドラーダ:エクアドル内のコーヒー品評会
※COE:世界のコーヒー品評会
どん底からの復活は、関係者すべての人の努力の賜物です!
シドラの成り立ち
結論からいうと、未開の品種であるため不確定な部分が多く確定した情報はありません。
現時点では、2つの仮説がありますが、おそらく2番目の仮説の方が、有力だと思われます。
- 仮説①:レッドブルボン種+ティピカ種 交配種
-
現在、書籍やインターネット上で多く見られる説
- 仮説②:エチオピア原種に近い品種
-
最新の研究で出てきた説
最近の遺伝子分析で「遺伝的にエチオピアの原種に似ている」ということがわかったそうです。
※エチオピア原種:世界中に伝わる前の最初の品種
「シドラ」の名前の由来
「シドラ」はスペイン語で「リンゴ酒(シードル)」という意味になります。
スペイン語なのは、植民地時代の名残で、エクアドルの公用語がスペイン語だからなのではないかと思われます。
気になるシドラの味わいは?
シドラ種の味わいは、「リンゴ」のような明るい酸味が特徴です。
単にリンゴのような味わいだけでなく、シードル(リンゴ酒)のような爽やかさもあります。
「シドラ」名前の由来は味わいからきているということです!
また、しっかりとした甘さがあるのも特徴になります。
焙煎がやや深めであっても「リンゴ」らしい酸やフレーバー、甘さを感じることができ、希少品種にふさわしい上品な味わいです。
通常、焙煎が進み深煎りになるほど、酸味が減少していく傾向がありますが、シドラ種は違います。
きっとこれはシドラ種のポテンシャルの高さ故と言えるのではないでしょうか。
その他、良くいわれるフレーバーの表現としては以下のものがあります。
- エチオピアや、ゲイシャのような華やかなフローラルさ
- カシスのようなフルーティさ
- 明るく爽やか
- クリーン
私はエクアドルのシドラ種(ウォッシュド)を飲んだことがありますが、とても爽やかで甘酸っぱいリンゴのフレーバーを感じたのが印象的でした!
精製方法によって印象も変わりますので、ご参考程度に思って頂ければと思います。
シドラが有名になったきっかけ
コーヒー好きにはポピュラーなお話ですが、シドラは2019年に開催されたワールドバリスタチャンピオンシップで「Jooyeon Jeon(ジュヨン ジヨン)バリスタ」が
「コロンビア・ラ パルマ イ エル トゥカン農園・シドラ種・アナエロビックナチュラル」
を使って世界チャンピオンになったことがきっかけで、有名になりました。
生産者 | フェリペ・サルディ セバスチャン |
国 | コロンビア |
地域 | クンディナマルカ県トリマ |
農園 | ラ・パルマ・イ・エル・トゥカン |
品種 | シドラ |
プロセス | アナエロビックナチュラル |
標高 | 1800m |
その前には、エクアドルで最初にシドラ種を栽培した農園「ラ・ジウリア」が、エクアドル国内の品評会で高い評価を受けており、様々な品評会で高い評価を受けています。
シドラの平均価格は?
価格帯はさまざまですが、平均して1300~2000円未満/100gになります。
ものすごいプレミアム価格の物だと4800円/100gのものもあるようです。
4800円のものは、カーボニックマセレーションという特別な精製方法で作られたとても希少なコーヒー豆だったからだと思います!
高級だが日本ではあまり見ない希少品種
いかがでしたでしょうか?
今回のシドラについてまとめると以下のようになります。
- シドラとはエクアドル発祥の希少品種
- 現在はエクアドルとコロンビアで主に生産されている
- リンゴ酒の「シードル」から由来しており味わいも「リンゴ」のような酸味やフレーバーを感じる
- 2019年ワールドバリスタチャンピオンシップの優勝者が使ったことで一躍有名になった
昨年末くらいまではエクアドル・シドラ種の販売をよく見かけましたが、現在はどのコーヒーショップでもネット販売含め取扱いが少ないように感じます。
流通も少なそうですし、見かけたらぜひ飲んでみてください!