世界が注目する最高級品種のコーヒーがあったら飲んでみたいと思いませんか?
今回紹介するのは世界最高級品種「ゲイシャ」についてです。
おそらく、コーヒー好きの方ならゲイシャという名前を聞いたことがあると思います。
- ゲイシャの原産地とは
- ゲイシャが人気になった背景
- ゲイシャの味わいの特徴
- ゲイシャが高価な理由
- ゲイシャのおすすめの淹れ方
上記内容で紹介します。
ゲイシャコーヒーが「幻のコーヒー」と呼ばれる秘密を解き明かしながら、極上のゲイシャが味わえるお店も紹介します。
ぜひ今回ゲイシャコーヒーの魅力を知って、新たなコーヒーライフのひとつとして取り入れてみてください。
ゲイシャコーヒーとは?名前の由来と原産地について
ゲイシャと聞くと「芸者」をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、日本の「芸者」とは全く関係がなく、「ゲイシャ」という名前は原産地に由来しております。
ゲイシャという名前の由来、原産地について以下で詳しく解説していきます。
原産地はエチオピアのゲシャ地区
原産地は、コーヒーの発祥の地であるエチオピアです。
エチオピア西南部のゲシャ地区という場所で自生していた「ゲシャ種」が起源とされています。
昔は、他の伝統品種と比べて著しく生産量が低く、栽培する農家はほとんどいなかったそうです。
品種はアラビカ種の一種
ゲイシャは、コーヒーの3大原種のうちのひとつであるアラビカ種の一種です。
アラビカ種は世界で生産されているコーヒー豆の約6割を占める品種で、世界で最も生産されているコーヒー豆の品種になります。
一般的には、アラビカ種は栽培が難しく、病気にもかかりやすい品種と言われています。
その中でもゲイシャは、特に栽培条件がとても厳しく、生産量も少ないのが特徴です。
コーヒー豆は、育てやすいよう何度も品種改良されるのが一般的ですが、ゲイシャ種は原種に最も近い状態で生産されているコーヒー豆として知られています。
2大産地 | 中南米とアフリカ
エチオピアで発見されたゲイシャは、アフリカのケニア、タンザニアを経て、中米のコスタリカ、パナマへと栽培地域が広がっていきます。
現在では、アジアでも栽培されていますが、パナマやコスタリカの中南米と、原産地でもあるエチオピアのアフリカが2大産地となっています。
なぜ人気に?ゲイシャコーヒーの歴史と注目される理由
最高級品種と注目されるゲイシャコーヒーですが、原産地のエチオピアで発見されてから70年余り注目されることはありませんでした。
そのゲイシャコーヒーが、エチオピアで発見されてから、世界から注目を集めるまでの歴史とその理由を解説していきます。
1930年代 | エチオピアで発見される
コーヒー豆の品種の中でもまだ歴史が浅いゲイシャは、アフリカのエチオピア西南部で発見されます。
その後、同じアフリカのケニア、タンザニアへ伝わってきます。
1950年~1960年代 | 中南米コスタリカ、そしてパナマへ
ゲイシャは、アフリカのケニア、タンザニアを経て、1953年コスタリカのコーヒー農学研究所(CATIE)へ持ち込まれ、研究と栽培が行われます。
当時の栽培地は標高が低かったこともあり、味が悪く、長らく積極的に栽培されない状態が続いていました。
その後、1963年パナマのコーヒー生産者(ドンパチ農園主 フランシスコ・セラシン氏)がCATIEから苗をもらい受け、自身が運営する農園ほか、パナマのいくつかの農園に苗を配ったことで、パナマでゲイシャ種の栽培がはじまります。
ところがゲイシャ種の栽培は思いのほか難しく、生産効率も良くないことがわかり、ほどなくしてほとんどの農園が栽培をやめてしまいます。
1960年~1980年代 | パナマのエスメラルダ農園のはじまり
エスメラルダ農園は、パナマ産ゲイシャを世界に認知させた農園として有名です。
農園は、1967年スウェーデン出身の銀行家で、バンク・オブ・アメリカの頭取であったルドルフ・A・ピーターソン氏が、退職後の拠点として購入したのがはじまりです。
その土地は1940年に同じスウェーデン人のハンス・エリオット氏が農園として購入した土地で、主に牧草地として活用されていました。
1973年に、ルドルフ・A・ピーターソン氏から、息子のプライス・ピーターソン氏に農園の経営が引き継がれ、現在は3代目のエリック氏、レイチェル氏、ダニエル氏によって経営されています。
エスメラルダ農園は、標高1,600mに位置しており、豊かな土壌と適度な降雨量がある土地柄で、1,500mから1,700mの標高を好むゲイシャ種にとって最適な環境でした。
牧草地として活用されていた土地は、1987年にコーヒー農園用に土地の大部分を再開発したことで本格的にコーヒーの栽培がはじまります。
1990年代 | パナマでスペシャルティコーヒーブーム到来
1960年代以降にパナマで生産されたコーヒー豆は、農園や品種が混在した状態で出荷され、大衆向けのコーヒーが一般的でした。
しかし、1990年代にスペシャルティコーヒーという概念が生まれると、コーヒー生産に注目を集めます。
1994年にエスメラルダ農園は精製所を建設し、1997年にはより高品質のコーヒー豆を作るために高地に新しい農園を買い取り、その農園を「ハラミージョ」と名付け、スペシャルティコーヒーの栽培がはじまります。
ゲイシャコーヒーの再発見
1997年「アメリカ葉斑病」というコーヒーの病気が広がります。
エスメラルダ農園では、約15品種のコーヒー豆を栽培していましたが、多くの品種は枯れ果ててしまいました。
しかし幸運にも高地で栽培していたゲイシャを含む3つの品種が生き残りました。
3代目農園主のひとりであるダニエル氏は、ゲイシャコーヒーの木の被害が少ないことに気づき、もともとゲイシャが植えられていた場所よりもっと高い標高に位置する「ハラミージョ」にゲイシャを植えることにします。
エスメラルダ農園に偶然植えられていたゲイシャが、病気により再発見された瞬間でした。
その後もゲイシャの栽培は継続され、2004年に最初の収穫が行われました。
2004年 | コーヒーの国際品評会「ベスト・オブ・パナマ」で優勝
2004年に開催されたコーヒーの国際品評会「ベスト・オブ・パナマ」で、エスメラルダ農園ゲイシャを出品したところ、1ポンドあたり21ドルと、当時の最高額で落札され優勝しました。
これは「ゲイシャショック」と言われ、ゲイシャが世界で一番有名なコーヒー豆となった瞬間でした。
エスメラルダ農園のゲイシャは、その後も、自らもつ記録を毎年更新し続け、2005年、2006年、2007年、2009年、2010年と連続で1位を獲得します。
2007年のオークションでは、1ポンドあたり130ドルと史上最高額を大きく更新し、世界中の注目を浴びました。
ゲイシャコーヒーの特徴は?味わいと値段が高い理由
2004年「ベスト・オブ・パナマ」で優勝して以来、世界の注目を集めるゲイシャコーヒーですが、2014年にはスターバックスコーヒーがパナマ産ゲイシャを1杯2,000円で販売し話題になりました。
当時のドリップコーヒー(ショートサイズ)の6.6倍の値段だったようです。
そんな品質・値段ともに注目されるゲイシャコーヒーですが、どんな味がするのか?またなぜこんなに高値で取引きされているのかを解説します。
ゲイシャコーヒー味わいについて
ゲイシャコーヒーは、苦味や雑味がなく、ラズベリーやストロベリーを彷彿させるような甘酸っぱさと、はちみつや黒糖のような濃厚な甘みが特徴です。
少し冷めてくると赤ワインのようなフレーバーを感じられ、コーヒーが苦手な方でも楽しめる味わいです。
初めて飲む方は、普段飲んでいるコーヒーとは全く異なる味わいに驚くことでしょう。
ゲイシャコーヒーの香りについて
ゲイシャコーヒーは、フルーティな味わいもさることながら香りの高さも特徴です。
一口飲むと鼻から抜ける爽やかな香りが、ジャスミンやアールグレイのような香り高いお茶の印象をもたらしてくれます。
飲み終えた後に感じる華かやな余韻は、ゲイシャコーヒーならではの魅力と言えるでしょう。
ゲイシャコーヒーが値段が高い理由
ゲイシャコーヒーの値段が高い理由は以下の3つです。
- 収穫量が少ない
- 栽培できる農園が少ない
- ゲイシャショックの影響が続いている
どれかひとつの理由によって値段が高くなっているのではなく、いろいろな理由が重なり高く取引されています。
ひとつずつ解説していきます。
1. 収穫量が少ない
ゲイシャ種は、生産量が少ない品種として知られています。
コーヒー1本から収穫できる豆の量は、他の品種に比べ半分程度と言われています。
2. 栽培できる農園が少ない
ゲイシャ種は、栽培するのが難しい品種として知られています。
ゲイシャ種が育てられている環境は、標高1,500mから1,700mの山の斜面で育てられています。
そのため限られた地域や国でしか栽培ができません。
また山の斜面だと、機械での収穫が難しく、主に手で収穫するなど手間がかかります。
栽培環境が限られていること、収穫に手間がかかるため、ゲイシャ種にあった環境を準備できる農園が少ないことです。
3. ゲイシャショックの影響が続いている
ゲイシャショックによってはじまった高値での取引が、今も続いていることです。
エスメラルダ農園のゲイシャは、1区画あたり300ポンドという高値で入札にかけられますが、毎回数時間で完売するそうです。
ゲイシャコーヒーのおすすめの淹れ方について
これだけ世界中から注目され、希少価値が高いゲイシャコーヒーですから、せっかくなら美味しく堪能したいと思いませんか?
こちらでは、ゲイシャコーヒーの特徴が感じやすいおすすめの淹れ方を紹介します。
ゲイシャコーヒーは浅煎りがおすすめ
ゲイシャコーヒーを焙煎する時は、浅煎り寄りに焙煎することをおすすめします。
ゲイシャコーヒーは苦味や雑味が少なく、爽やかな香りが特徴の品種です。
その特徴を生かすためには、焙煎しすぎないことが大切です。
シナモンローストからミディアムローストくらいの焙煎度合いにしておくことで、ゲイシャコーヒーの特徴を感じられるコーヒーに仕上がるでしょう。
粗挽き~中細挽き | お湯の温度は75~85℃
コーヒー豆は、苦味や雑味をおさえるために粗挽き~中粗挽きが良いとされています。
お湯の温度は、低めの82℃〜85℃で、ゆっくり抽出することが大事です。
低い温度で、丁寧にゆっくり淹れることで、ゲイシャ本来のフルーツのような甘いフレーバーを抽出しやすくなります。
ゲイシャコーヒーはブラックで楽しむ
ゲイシャコーヒーは豆本来の甘みと香りが強い品種です。
ぜひ砂糖やミルクなどいれずにブラックで楽しみましょう。
容器もマグカップなどではなく、ワイングラスのようなフレーバーを感じられるグラスに入れて飲むことで、香りや味わいはもちろん、普段とは違ったコーヒーを楽しめる事でしょう。
ゲイシャコーヒーの入手方法と選ぶ時の注意点
ゲイシャコーヒーが世界から注目されるようになり、近年では「スペシャルティコーヒー」の専門店や、ネットでコーヒー豆が販売されているのを見かけるようになりました。
かつては、スターバックスコーヒーで1杯2,000円で販売されていたり、ローソンでもパナマ産ゲイシャが1杯500円で販売されていました。
こちらでは、ゲイシャコーヒーが飲めるおすすめのお店と入手方法、購入する際の注意点を紹介します。
ゲイシャコーヒーの入手方法について
ゲイシャコーヒーは、「スペシャルティコーヒー」の専門店やオンライン販売で購入できます。
こちらでは入手方法とおすすめのお店を3店舗紹介します。
サザコーヒー | エスメラルダ農園のゲイシャコーヒーを楽しめます
茨城県を中心に17店舗展開しているコーヒー店で、東京にも店舗があります。
コロンビア国内で直接コーヒー農園を経営する唯一の日本企業でもあります。
エスメラルダ農園のゲイシャを飲みたいならサザコーヒーがおすすめです。
オンライン販売もしていますので、遠方の方でも購入できます。
GESHARY COFFEE | ゲイシャのみを取り扱うコーヒー専門店
GESHARY COFFEE(ゲイシャコーヒー)は、東京都千代田区にあり、「コーヒーの楽園」をコンセプトに世界中の厳選したゲイシャを味わえる店舗です。
店内では、ゲイシャコーヒーを引き立てる旬のスイーツやフードを楽しめます。
オンライン販売もしていますので、遠方の方でも購入できます。
スターバックスコーヒー | 自社農園 ハシエンダアルサシア農園
スターバックスコーヒーは、2013年より南米コスタリカに自社農園として「ハシエンダアルサシア農園」を運営しています。
そして、2021年10月より全国の一部のスターバックスリザーブ販売店舗と、公式のオンラインショップで、コスタリカ産ゲイシャコーヒー(「コスタリカ ハシエンダ アルサシア ゲイシャ」)を販売しています。
リザーブ販売店舗とは「コーヒーの知識豊富なバリスタに相談しながら自分好みなコーヒーを味わえる」店舗のことです。
店内ではコーヒー豆を購入したり、店内でバリスタが淹れたコーヒーを味わえます。
どこの店舗で取り扱いがあるかについては、スターバックスコーヒーの公式ホームページから商品選択後、「お取り扱い店舗」から確認できます。
ゲイシャコーヒーは生産地のよって味わいが異なる
そんなゲイシャコーヒーですが、ネットを調べると「まずい」や「酸っぱい」という意見もみかけます。
ゲイシャコーヒーは、生育環境やその土地の風土の影響を受けるため、産地によって味が異なります。
他の品種に比べお土産として利用されることも多いようです。
お土産の場合、焙煎から時間が経過していることで、本来の華やかな香りがなくなり、酸味だけが強く感じることもあるようです。
購入する際は、産地なども確認しながら購入することをおすすめします。
まとめ | 最高級のコーヒー豆| ゲイシャコーヒーで特別なひとときを!
これまで、世界で注目を集める「最高級品種のゲイシャ」の歴史から淹れ方、入手方法まで解説してきました。
ゲイシャは、他の品種では味わえない特別なフレーバーを楽しめる品種です。
最近では取り扱うお店も増え、少しは身近に感じられるようになりました。
とはいえ、毎日飲めるような値段ではないことも事実です。
ぜひ、自分のごぼうびや大切な人との時間に、ゲイシャコーヒーを片手に特別なひとときを過ごしてみてはいかかでしょうか。
きっと忘れられない時間になるはずです!
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