「アラビカ種」「ロブスタ種」といった言葉を聞いた事はありますか?
実は、これらはコーヒーの品種の名前です。
お米にも「コシヒカリ」「ななつぼし」といった品種があるように、コーヒーにも品種があります。
現在、このようなコーヒーの品種は数千種類にも及ぶとされており、全ての品種を覚えられる人はおそらくいないでしょう。
そこで今回の記事では、全ての品種の原点である「アラビカ種」と「ロブスタ種」を深掘りすることで、コーヒーについて学びを深めたいと思います。
- コーヒーの三大原種
- アラビカ種とロブスタ種の違い
- スペシャルティコーヒーとファインロブスタについて
以上の内容で書かせていただきます。
アラビカ種とロブスタ種は、コーヒーについて知っていくうえで最重要になるので、ぜひこの記事で勉強してみてください!
コーヒーの三大原種とは?
コーヒーの三大原種は、「アラビカ種」「ロブスタ種(カネフォラ種)」「リベリカ種」の3つ品種の総称です。
冒頭でも書いたように、コーヒーには数千の品種があるとされています。
それらは全て、この3大原種から突然変異や品種改良を重ねて派生していったものです。
原種①:アラビカ種
三大原種のなかで、最も流通しているのがアラビカ種です。
流通量の6〜7割ほどはアラビカ種が占めています。
- 1000m以上の高地でしか育たない
- 病気に弱い
- 日中は25℃、夜中は15℃くらいの寒暖差がほしい
- 強すぎる日差しは苦手
- 年間降雨量は1,500~2,500mmが必要
上記のように栽培が難しいのが特徴ですが、その代わり三大原種の中で最も香りと味わいのいいコーヒー豆ができます。
原種②:ロブスタ種
流通量の3割ほどがロブスタ種です。
病気にも強く、1000m以下の低地での栽培が可能なので比較的簡単に栽培できます。
味わいとしては、とても苦味が強くロブスタ種の豆だけで淹れたコーヒーを1杯飲み切るのは至難の業です。
ブレンドして味にパンチを出すために使われることが多いです。
また安価なため、缶コーヒーやインスタントコーヒーにもよく使われます。
原種③:リベリカ種
一番流通が少ないのが、リベリカ種です。
流通量は全体の1%とほどと言われており、日本ではほとんど流通していないと言った方がいいかもしれません。
主に流通している国はヨーロッパらしいです!
病気に強く標高200mの低地でも栽培できるので、三大原種の中でも栽培しやすい種類ではあります。
しかし、味わいとしては苦味が強いので、流通量が少ないのはシンプルに人気がないからかもしれません。
私自身リベリカ種の豆を見たことがないので、もし出会えたら一度飲んでみたいなと思っています。
アラビカ種とロブスタ種の違いを徹底解説
ここからは、世界でも流通量の多いアラビカ種とロブスタ種の違いについて解説していきたいと思います。
アラビカ種 | ロブスタ種 | |
標高 | 1000〜2000m | 500〜1000m |
気温 | 16〜25°C | 19〜32°C |
年間降雨量 | 1500〜2500mm | 2000〜3000mm |
実が熟すまでの期間 | 9ヶ月 | 11ヶ月 |
木の高さ | 約5m | 約10m |
豆の含油率 | 15〜17% | 10〜12% |
豆の糖度 | 6〜9% | 3〜7% |
カフェイン含有率 | 0.8〜1.2% | 1.7〜2.4% |
栽培環境について
アラビカ種は標高1000m以上の涼しい高地かつ、日が当たりすぎない緩やかな傾斜のある場所じゃないと健康に育ちません。
場合によっては、シェードツリーと呼ばれる日除けの木を一緒に植える必要があります。
さらに、高温多湿、乾燥や霜、病気や害虫など、あらゆるものに弱いです。
美味しいコーヒー豆ができる代わりに、かなり繊細な品種だと言えます。
また、派生した品種の代表例としては「ティピカ」「ブルボン」などが有名です。
それぞれの特徴を解説すると以下のようになります。
- ティピカ
-
収穫量が少ない。
シトラスのような爽やかな酸味が特徴。
- ブルボン
-
完熟まで成長が早く、収穫量が多い。
やわらかい甘みが特徴。
対して、ロブスタ種は標高1000m以下の比較的標高が低い場所でも元気に育ってくれます。
高温多湿な環境にも強く、日照にも強いのでシェードツリーも必要ありません。
また病気や害虫への耐性も強く、アラビカ種と比較するとロブスタ種の方が栽培しやすい品種と言われています。
収穫について
アラビカ種とロブスタ種では、実のなる量がロブスタ種の方が多いとされています。
さらに、シェードツリーを植える必要もないので密度を高くコーヒーの木を栽培することが可能です。
そのため、単位面積あたりの収穫量は圧倒的にロブスタ種の方が多くなります。
ロブスタ種を多く作っている国として、ベトナムが挙げられます。
ベトナム以外の国ではアラビカ種とロブスタ種を両方生産していることが多いですが、ベトナムでは、コーヒー豆の生産量のほとんどがロブスタ種です。
そのため世界的に見てもベトナムのコーヒー豆の生産性は高く、世界平均の約3倍にもなります。
味わいについて
アラビカ種は豊かな香りと、鮮やかな酸味があり味わい深いと言われています。
対してロブスタ種は苦味が強く、独特の後味が残ります。
ロブスタ種の独特な後味のことを「タイヤで出汁をとったみたい」と表現するカフェのマスターに会った事がありますが、すごく的を得ていると思います。
味わいの違いは、アラビカ種とロブスタ種の豆の成分が原因です。
アラビカ種は、糖度と含油率が高いので、美味しいコーヒーと感じると考えられます。
飲み方について
アラビカ種に関しては、豆自体が美味しいのでどんな飲み方でも飲むことができます。
しかし、アラビカ種でしかできない飲み方はやはり「ストレート」でしょう。
1種類の豆だけで抽出したコーヒーをストレートと呼びますが、ストレートにすることにより、生産国や農園、焙煎や精製方法などの違いを楽しむことができます。
もし、ストレートのコーヒーに挑戦したことがなければ、一番バランスの取れたミルクチョコレートのような甘みを持つブラジルのコーヒー豆がおすすめです!
ロブスタ種は、苦味の強さと独特の後味のせいで飲み方が限られてきます。
ロブスタ種の飲み方で一番有名なのは、「エスプレッソ」です。
ロブスタ種を30%ほどブレンドすることで、良い感じで苦味のアクセントをつけてくれます。
他にも、「ベトナムコーヒー」が有名です。
苦くてストレートでは飲めたものではありませんが、練乳をたっぷり入れることでおいしく飲むことができます。
ベトナムに行くとよく見かける伝統的なコーヒーの飲み方ですので、一度試してみると面白いです!
【アラビカ種の最高品質】スペシャルティコーヒーとは?
最近よく「スペシャルティーコーヒー」という言葉を聞きます。
名前からしてすごいという事はよくわかるのですが、何が凄いのか分かりにくいですよね。
簡単にいうと、以下の条件を満たしたコーヒーのことです。
- トレーサビリティがはっきりしている
- カッピングスコアが高い
トレーサビリティから説明します。
トレーサビリティーという言葉を辞書で引くと、「作業内容を記録した履歴を残し、追跡ができること」と出ます。
コーヒー豆でいうトレーサビリティーとは「農園、品種、生産処理方法」などのすべての情報がすべて開示されている状態です。
これにより、透明性が高まるので、問題点が発見しやすくなり品質の向上に努めることができます。
次にカッピングスコアについて説明します。
カッピングスコアとは、SCA(スペシャルティコーヒー協会)やSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)などの協会が決める点数のことです。
Qグレーダーという国際資格を持った人のみが点数をつけることができ、味の品質が保証されていることになります。
Qグレーダーは、採点用のテイスティング方法(カッピングと呼ばれる)で採点を行い、80点を超える点数をとる豆だけがスペシャルティコーヒーと呼ばれるのです。
【ロブスタ種の最高品質】ファインロブスタとは?
最近は「ファインロブスタ」というグレードがでてきました。
これは、アラビカ種で「スペシャルティコーヒー」があるように、ロブスタ種でも品質の高いコーヒー豆を作ろうという動きから生まれたものです。
ファインロブスタでは、収穫の段階でしっかり手間をかけて完熟豆だけを収穫することや、欠点豆を徹底的に取り除くなどロブスタコーヒーを美味しくするための様々な工夫を行っています。
優れた品質から、従来のロブスタのようなエスプレッソやベトナムコーヒーとしてはもちろん、ストレートで楽しむことができるのが最大の特徴です。
ファインロブスタの登場により、「ロブスタ種=まずい!」という今までの常識はくつがえり始めています。
きっと、5年、10年後にはアラビカ種と並んで、嗜好品として楽しまれていること間違いなしです!
ぜひ、時代の変わり目になった「ファインロブスタ」をお試しいただければと思います。
アラビカ種とロブスタ種の違いまとめ
今回は、アラビカ種とロブスタ種を中心にコーヒーの品種についてまとめてみました。
品種の違いによって味や栽培環境が全く違うことに、私自身、改めて驚いた部分があります。
ぜひ今回の記事を見ながら、コーヒー豆のサイトやお店に行ってみてください。
「私はアラビカ種で、厳しい環境で育ってきたんだ!
アラビカ種の中でもティピカ種だから、爽やかな酸味が特徴なんだよ!
絶対飲んでよな!!!」
知れば知るほど、情報の羅列でしかなかった説明欄が、コーヒー豆の素敵な自己紹介文に見てきます。
他にも「産地」や「精製方法」によってどのような味わいの違いが生まれるのかを解説しているので、下記の記事も参考にしてください!