ナチュラル、ウォッシュト、パルプトナチュラル・・・
いろいろあるけど何が違うの?
味に違いはあるの?
このような悩みに答えていきます。
コーヒー豆の購入で意識するポイントとして、一番初めに『焙煎度』、次に『産地』を見るのが基本です。
そして3番目に見るポイントは、今回のテーマ『精製方法』になります。
少し小難しい印象のある精製方法ですが、コーヒー通の人たちは一口飲んだだけで違いがわかるほど味に影響を及ぼす要素です。
覚えづらい『精製方法』について、できるだけわかりやすく4タイプの精製方法の味の違いについて紹介していきます!
コーヒー通の最初の一歩になる知識ですので、ぜひこの機会に覚えていってください。
コーヒーの精製とは?
コーヒー豆は上記画像のように、
収穫→精製→焙煎→粉砕→抽出
の順で私たちの口まで届きます。
それぞれの役割は以下の表を参考にしてください。
工程 | 役割 |
収穫 | コーヒーの木からコーヒーチェリーを収穫する工程 |
精製 | コーヒーチェリーを加工して生豆(煎る前のコーヒー豆)の状態にする工程 |
焙煎 | 生豆を焙煎してよく見る茶色のコーヒー豆の状態にする工程 |
粉砕 | コーヒー豆をコーヒーミルで砕いて粉にする工程 |
抽出 | コーヒー粉をお湯で抽出してコーヒーを作る工程 |
今回のテーマ『精製』は、全体の2番目になる工程で、コーヒーチェリーを生豆に加工する役割です。
コーヒーチェリーの構造は下記画像のようになっています。
果肉>ぬめぬめの薄皮(ミューシレージ)>固い殻(パーチメント)>生豆
名前を覚えるというよりは、上のように、特徴で覚えるといいと思います。
今回の記事では4つのタイプの精製方法を紹介しますが、果肉・ぬめぬめ・固い殻をどんな”方法””工程”で除去したのかで分類されています。
この点に注目して続きをご覧ください。
コーヒーの主な精製方法4タイプを解説
4つ精製方法は以下の通りです。
- ナチュラル
- ウォッシュト
- パルプトナチュラル
- スマトラ式
ひとつずつ詳しく解説します。
精製方法①:ナチュラル
コーヒーチェリーを果実のまま乾燥させる方法です。
天日干しで乾燥させ自然に左右されるので、『ナチュラル』と覚えるといいと思います。
乾燥された後は、果実を脱穀して生豆を取り出す工程です。
果肉をつけたまま乾燥させるため、生豆にフルーティな甘味や香りが移り、飲んだらすぐにわかるほど特徴があります。
ただ、水に浮かべる工程が無いため、欠点豆を除去することが困難なところは弱点です。
スペシャルティグレードなどの高品質なコーヒー豆なら、丁寧に選別されるので欠点豆がなくフルーティな風味を味わえます!
精製方法②:ウォッシュト
果肉とミューシレージを除去した状態で乾燥させる方法です。
水で洗う・磨く工程があるので、『ウォッシュト』と覚えるといいと思います。
ナチュラルと比べて果肉とミューシレージを取り除いてから乾燥させるので、フルーティな風味が生豆に移らずクリアでキレイな酸味が特徴です。
ワインで例えると・・・
ナチュラル = 赤ワイン
ウォッシュト = 白ワイン
このように聞くと、なんとなく味の違いがイメージできるでしょうか。
精製方法③:パルプトナチュラル/ハニープロセス
果肉だけを除去し、ミューシレージを残した状態で乾燥させる方法です。
ナチュラルに近い個性的な風味に、ウォッシュトの安定したクリアな味わいをあわせ持っているのが特徴になります。
また、ミューシレージをどの程度残すかによって名称・風味が以下のように変化する点も非常に面白いです。
名称 | ミューシレージの除去率 | 風味 |
ホワイトハニー | 90%ほど | クリアな酸味(ウォッシュトに近い) |
ゴールデンハニー | 75~80%ほど | 酸味に加えてフルーティな甘さも感じる |
イエローハニー | 50%ほど | ほどよい酸味と甘さ(ウォッシュトとナチュラルの間) |
レッドハニー | 20∼25%ほど | しっかりとした果実の甘みと香り |
ブラックハニー | 0%ほど | 熟した赤ワインのような甘みと香り(ナチュラルに近い) |
精製方法④:スマトラ式
スマトラ式は、インドネシア、スマトラ島発祥の少し変わった精製方法です。
パルプトナチュラルと同じく、果肉除去後、ミューシレージを残した状態で2.3日乾燥をさせるのですが、完全に乾く前に脱穀をします。
その後、本乾燥により水分をしっかりと抜くことで完成です。
なぜ、2回に分けて乾燥をするかというと、スマトラ島周辺、東南アジアは雨が多いので1週間以上晴れが続くことはほとんどないからです。
乾ききる前に雨が降ってしまうので、予備乾燥を2.3日で終え、脱穀後に本乾燥をするという方法をとっています。
これにより、スマトラ式特有のハーブやビターアーモンド、トロピカルフルーツのような風味を出しますが、乾ききる前での脱穀は傷がつきやすく、欠点豆が多くなってしまうのが特徴です
精製方法の違いを理解してより複雑で面白い世界に
今回は4タイプの精製方法を紹介しました。
ナチュラル | 甘みのあるフルーティな風味 |
ウォッシュト | クリアで癖のない酸味 |
パルプトナチュラル | ナチュラルとウォッシュトの中間 |
スマトラ式 | ハーブを思わせる独特な風味 |
メリットデメリットをあげました、どれが一番優れているかを決めることはできません。
なぜなら、これらの精製方法は産地ごとの生育環境に合わせて使い分けられており、コーヒー豆の個性を最大限に生かすようにできているからです。
消費者側の好みに合わせて、これらの精製方法を参考に購入するという意識が重要になります。
少し難しいですが、わかるとよりコーヒーの世界が面白くなるので、ぜひ勉強してみてください!
また最近は、これら精製方法以外にも、「アナエロビックファーメンテーション」と呼ばれる精製方法が開発されました。
赤ワインやブランデーのような独特の発酵感を味わえるので、いつもと違うコーヒーが飲んでみたい人は挑戦してみてください。
詳しい解説は「【次世代の精製方法】アナエロビック(嫌気性発酵)について徹底解説」で解説しています。