コーヒー抽出というと、抽出方法はもちろん、焙煎度や豆の粒度、お湯の温度など、たくさんのこだわりポイントがあります。
条件を少し変えただけで味が変わり、とても難しいのがコーヒーです。
今回は、みなさんも一度は聞いたことがあるであろう「ペーパーリンス」について詳しくお話ししようと思います。
- そもそもペーパーリンスとは?
- ペーパーリンスを行う目的
- ペーパーリンスは本当に意味があるのか?
- ペーパーリンスの意外な効果
実際に何度も試して感じたことをまとめていますので、ぜひご覧ください!
コーヒーのリンス「ペーパーリンス」とは?
ペーパーリンスとは、ドリップコーヒーをする際の工程のひとつです。
具体的には、ペーパーフィルターをドリッパーにセットした後、ペーパー全体にお湯をかけることを指します。
そんなペーパーリンスですが、正直、こう思ったことはありませんか?
面倒な割に、本当に意味あるの?
私は思ったことがあります。笑
巷では、ペーパーリンス必要論と不要論が飛び交っており、一概にどちらがいいとは言えません。
しかし、今回の記事でペーパーリンスについての理解を深めることで、あなたなりの答えを見つけていただければと思います。
ペーパーリンスを行う3つの目的とその効果
ペーパーリンスは、抽出工程がひとつ増えるため面倒なものです。
しかし、それでも行うのは、3つの目的があるからになります。
- ペーパーの匂いや味を除去する
- ドリッパーを温める
- ペーパーとドリッパーを密着させる
ひとつずつ解説します。
目的①:ペーパーの匂いや味を除去
ペーパーリンスを行う目的でもっとも代表的なのが、ペーパーの匂いや味を除去することです。
本当にペーパーに匂いや味がするのか。
少し実験をしてみました。
コーヒーの粉を入れず、ペーパーだけをドリッパーにセットしてお湯を注ぎ、抽出したお湯を飲んでみる実験です。
ペーパーを通したお湯を飲んでみると、若干、紙臭さを感じました。
また、匂いも多少感じました。
次にコーヒーの粉を入れて、ペーパーリンスありとなしを飲み比べてみた結果、
どちらも同じコーヒーの匂いと味に感じました。
確かにペーパーには味や匂いが存在しますが、コーヒーの味や香り以上に強く感じることはないようです。
相当味覚や嗅覚がかなり敏感な人以外は気にしなくてもいいように思います。
目的②:ドリッパーを温めること
抽出時にお湯の温度は大きく関係します。
そのため、事前にドリッパーを温めることで、1年を通して再現性のある安定した抽出が可能です。
例えば、冬の時期にドリッパーを温めないと、注いだ瞬間にお湯の温度が少し下がってしまいます。
この温度の下がり幅は、季節によって、1回目2回目の抽出によって違ってきます。
1年を通して再現性のある抽出をするためにも、ドリッパーを温めることが重要です。
目的③:ペーパーとドリッパーを密着させること
ペーパーリンスをすることで、事前にペーパーとドリッパーを密着させることができます。
密着させず隙間があると、その部分は豆とお湯の接触時間が短くなるため、味わいが変わってきます。
ペーパーリンスをしない場合でも、注ぎ始めてから密着するんじゃない?
と思うかもしれませんが、抽出してから密着するかどうかは確実ではないため、再現性を高めるためにもペーパーリンスは有効であるように感じます。
ペーパーリンスのデメリットは?
3つの目的を紹介しましたが、逆にペーパーリンスをするデメリットは、リンスなしと比較して「苦みや雑味が強くなる」ことです。
ペーパーリンスありなしを比較したときに、ありの方が若干苦みや雑味を感じました。
仮説としては、リンスなしだとペーパーが乾燥しているので、成分を吸着しやすいからだと思われます。
中煎りや深煎りの場合は、ペーパーリンスありだと苦みが強く出すぎて、少し飲みにくくなるかもしれません。
ペーパーリンスの面白い効果を紹介!
ペーパーリンスに関する面白い実験を見つけたのでご紹介します。
ペーパーリンスにより、コーヒーの抽出スピードが変化することに着目した実験です。
結論から言うと、ペーパーリンスをした場合はしないものと比べると序盤では抽出スピードが速く、時間が経過するにつれて抽出スピードが極端に遅くなることがわかりました。
これは序盤の抽出スピードが上がることでフィルターへの微粉の詰まりが速くなり、時間の経過によって抽出スピードが極端に落ちたと考えられます。
この動画を見て、私は以下の表のように理解しております。
工程 | 時間の比率 | 抽出される成分 |
---|---|---|
前半 | 3 | 酸味、甘み |
後半 | 7 | 甘み、苦み、渋み |
前半の酸味が抽出されるフェーズを駆け足で抜けて、しっかりと苦みや渋みを抽出することができます。
ペーパーリンスをすると、苦みや雑味が出る理由はこれかもしれません。
ペーパーリンスをした場合の、この特徴を生かすとすると、
- 浅煎りで甘みやコクを出したい場合
- 深煎りでガツンとした苦みを出したい場合
上記のケースが考えられるのではないでしょうか。
基本は「しない派」、浅煎りのみ「する派」
今回の記事ではペーパーリンスについて解説してきました。
巷でいわれる効果としては3つがあげられます。
- ペーパーの匂いや味を除去する
- ドリッパーを温める
- ペーパーとドリッパーを密着させる
上記の効果からペーパーリンスを活用すれば、安定した抽出が可能になりそうです。
ただ、最後の実験にもあるように、ペーパーリンスは抽出スピードに影響を与えるため、私としては少し尻込みしてしまいます。
そのため、今のところは抽出スピードを重視して、甘みやコクを出したい浅煎りの場合のみペーパーリンスを行うようにしています。
今回の記事を参考にしながら、みなさんも自分好みのコーヒーを追求していきましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました。