サードウェーブが今や主流となり、そこかしこで浅煎りのコーヒーを見かけるようになりました。
コーヒーは嗜好品ですので、「こうでなければならない!」「こういう淹れ方でなくてはいけない!」ということはありませんが、それでもやっぱり「美味しく淹れるコツ」があれば実践したい。と思う方は多いのではないでしょうか?
お店で飲むコーヒーは格別ですが、おうちコーヒーもお店で飲む味わいに近づけたら、コーヒーがもっと楽しくなりますよね。
今回は、浅煎りのコーヒーを美味しく淹れるための、コツや調整方法についてお話ししていきたいと思います。
ご自宅のキッチンにきっとある「手軽なもの」を使うことで、格段に美味しくなるはずです!
ぜひ、最後までお読み頂き、実践してみてください。
きっともう「酸っぱいコーヒー」は卒業できると思いますよ!
そもそも浅煎りコーヒーの特徴はなに?
そもそも浅煎りコーヒーの特徴は何でしょうか?
それは「苦味がなくスッキリ、酸味があり、フルーティな味わい」のコーヒーです。
焙煎時間が短く温度も低いため、コーヒーの苦味成分が形成される前に焙煎が終了します。
クロロゲン酸ラクトン類は、コーヒーらしい苦味が特徴です。
ビニルカテコールオリゴマーは、焦げに近い苦みになります。
これらは焙煎が進むほどに形成されるので、浅煎りコーヒーにはほとんど含まれていません。
そのため、苦味が少なく、明るくフルーティーな味わいが楽しめます。
おいしい浅煎りコーヒーとまずい浅煎りコーヒーの違い
焙煎の浅いコーヒーは、成分が引き出しにくく、ちょっとした違いで味が変わります。
変わるだけならまだしも、失敗してしまうことも多く、酸っぱすぎて飲めないなんてことになりかねません。
おいしい浅煎りコーヒーを淹れれるようになるためにも、まずは正しい味わいを知りましょう。
どんな味の時が正解なのか、を知っておくと、抽出の善し悪しの判断にもなりますので、ぜひご参考ください。
高温時の”おいしい”と”まずい”
低温時の”おいしい”と”まずい”
紅茶のようなクリアさと、熟した果実のようなフルーティさ
酸っぱい、渋みがある、薄い、などネガティブな要素を多く感じるコーヒー
最終的には、飲み手の好みになってしまうかもしれませんが、この基準を目安にして頂けると「コーヒー豆本来の味わいを引き出すことができた」という指針になると思います。
浅煎りコーヒーのおすすめ抽出方法
では「浅煎りのコーヒー豆本来の味わいを引き出す」にはどんな抽出方法で、どんな味わいを目指せば良いのでしょうか?
まず、抽出方法ですが、だれもが知っていて、おそらく日本で最も一般的な方法である「ハンドドリップ」をおすすめします。
理由は3つです。
- 抽出の自由度が高く「出したい味」を自分好みに「コントロール」ができる
- スッキリとしたクリアな味になりやすい
- 極浅煎りでも成分を引き出すことができる
ハンドドリップの特徴は、何といっても「1.抽出の自由度が高く『出したい味』を自分好みに『コントロール』することができる」点だと、私は思います。
シンプルにお湯が上から下に透過していく抽出方法ですので、このようなことが可能です。
- 抽出時間で味わいを変えることができる
- お湯の注ぎ方でを味わいを変えることができる
- 蒸らしを調整できる
- ドリッパーによって味わいを変化させるこできる
- ペーパーフィルターによる濾過で「クリアな味」になる
- 甘さや酸味を引き出しやすい
このように、さまざまな要因で抽出を変えることができるのがハンドドリップの面白さであり、浅煎り向きだと考える理由です。
1杯のコーヒーにかける時間はほんの数分なのに、調整の幅が広いので面白いですよ!
浅煎りコーヒーを淹れるさいのおすすめ器具
この項目では「ハンドドリップで浅煎りコーヒーを淹れるのにおススメな器具」を2つご紹介します!
- Origamiドリッパー
- Kalitaウェーブドリッパー
おすすめ①:Origamiドリッパー
項目 | 内容 |
---|---|
製品特徴 | ・折り紙を折ったような形 ・磁器製(最近は樹脂製も登場) ・美濃焼きで有名な岐阜県のブランド |
抽出の特徴 | ・湯抜けが早い ・抽出の自由度が高い |
味わいの特徴 | クリアで明るい酸味 |
フィルター | 円錐形:淹れ方を間違えると未抽出になりやすい ウェーブドリッパー用:リブにフィットするので安定する |
Kalitaウェーブドリッパー
項目 | 内容 |
---|---|
製品特徴 | ・従来の台形ドリッパーの底が平らな形状になった ・ステンレス製、銅製のドリッパー ・金属加工製品で有名な「新潟県燕市」で作られている ・厳しい基準をクリアした証「Made in TSUBAME」の刻印が入っている |
抽出の特徴 | ・底が平らなので、均一にお湯がかかりやすく、未抽出になりにくい ・穴が3つあるため、湯だまりがしない ・抽出の自由度が高い |
味わいの特徴 | バランスのいい味わい |
誰でもできる!おいしい浅煎りコーヒーの淹れ方
ハンドドリップにおける「浅煎りコーヒーのおいしい淹れ方」を解説していきます。
ポイントは「はかる(量・計・測)」です。
お料理好きな方や、ご家庭のキッチンにきっとお持ちの「あるもの」を使います。
それは「電子スケール」「(キッチン)タイマー」「温度計」です。
これらを使用して「はかる」こと。これが美味しいコーヒーへの近道です。
測定項目 | 基準数値 |
---|---|
豆とお湯の量(ブリューレシオ) | 1:15~1:16 |
お湯の温度 | 93℃±3℃ |
抽出時間 | 2分~3分 |
この「はかる」ことは浅煎りのコーヒーを淹れる際にとても大切です。
なぜなら、数字をコントロールすれば味わいの再現性が高く一定になりやすいからです。
上記の重さ、温度、抽出時間はSCAA(Specialty Coffee Association of America)の定める抽出の際の基準であり、浅煎りコーヒーを淹れるレシピの平均的なトレンドでもあるので、ぜひ参考にしてみてください。
あとは、自分の好みや豆によって少しづつ異なるので、この数字を基準に美味しい一杯を探しましょう!
コーヒーの味わいが口に合わなかった場合の調整方法
上記のポイントを踏まえて入れてみても、「何か違うな」「自分の好みではないな」と感じる場合も多々あります。
ハンドドリップは、数字のコントロールと注ぎ方で自在に美味しく出来ますが、人の手を介して抽出が行われる分、注ぎ方が一定でなければ当然、味のブレは出てしまいます。
面白さであり、難しさでもありますよね。
そこでここからは自分好みの味にするための調整方法をお伝えします。
- 注ぎ方にブレはなく、一定である
- 1回の抽出で調整する項目は1つのみ
- 新鮮な豆(焙煎から1~3か月以内)を使う
上記を前提に調整方法をお伝えします。
ネガティブではないがフルーティさが足りない場合
ネガティブではないがフルーティさが足りない場合は、抽出後のコーヒーに3~10g未満のお湯を加水します。
なぜなら、少し過抽出ぎみか、ブリューレシオが合っていない可能性があるからです。
加水することで、わざわざ淹れなおさなくても「明るく」「フルーティ」さを感じやすくなる場合があります。
全体的に「薄い」「水っぽい」場合
全体的に薄い、水っぽい場合は、以下の調整が有効です。
- 粒度を細かくする
- お湯を減らす
- 湯温を高くする
- 蒸らし時間を長くする
上記のどれかを試すことで、成分が引き出しやすくなり、濃度感も増します。
全体的に「濃い」「苦い」場合
全体的に濃い、苦い場合は、以下の調整が有効です。
- 粒度を粗くする
- お湯を増やす
- 湯温を低くする
- 蒸らし時間を短くする
成分が過剰に抽出されすぎている可能性があるので、それを抑えることができます。
コーヒーの味わいを調整する時の注意点
気を付けて頂きたいのが、「1回の抽出で調整する要素は1つのみ」ということです。
1度に複数の要素を変えれば少ない調整回数で、美味しいコーヒーに辿り着けるような気もしますが、最短なようで「実は遠回り」です。
何が原因でネガティブな味わいになってしまったのか、が分からなくなり、基準が無くなってしまうからです。
まとめ
ここまでお読み頂きありがとうございます!
まとめますと
- 抽出成功なコーヒーは「冷めても美味しく、ネガティブな部分がないコーヒー」
- 抽出失敗なコーヒーは「温度に限らず、酸っぱい、渋みなどを感じるコーヒー」
- 浅煎りにおススメな抽出方法は「ハンドドリップ」で、おススメの器具は「Origamiドリッパー」「Kalitaウェーブドリッパー」
- 美味しく淹れるには「重さ、時間、量をはかる」こと。数字を意識する。
- 微調整には「加水」、大きな調整には「数字、挽き具合、蒸らし」を変える
浅煎りにおける抽出のポイントは、何といっても「数字」です!
「私は理数系ではないです」「数字が苦手です」という方でも、SCAAの基準さえ覚えてしまえば、あとは「はかる」だけですし、その結果「どうだった」「次はこうしよう」「こうしたらこうなった」という積み重ねが、美味しい浅煎りコーヒーにたどり着く最短なので、ぜひいろいろ試してみてください。
余談ですが、深煎りは真逆で数字をあまり意識しません。
良い意味で「感覚と経験が作る一杯」ですので、プロの世界では「職人」のようなものです。
一重にコーヒーと言ってもまったく同じではないところがまた、奥深く面白いですよね。
それでは、楽しいコーヒーライフを!