普段からコーヒーを飲む方であれば「スペシャルティコーヒー」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
インターネットでカフェを検索すると、
「上質なスペシャルティコーヒーを提供しています!」
というようなお店が多いですよね。
では実際、スペシャルティコーヒーの何がすごいのかを知っているかというと「・・・。」という人もいるかもしれません。
そこで今回は!
- スペシャルティコーヒーって?
- どうやって誕生したの?
- 他のランクを知って、いかにスペシャルティコーヒーがすごいか体感しよう!
- スペシャルティコーヒーの気になる特徴
- スペシャルティコーヒーの相場
- 【マニアック】スペシャルティコーヒーの評価基準
なんとなくでスペシャルティコーヒーを飲むのではなく、その背景も知ったうえで飲むと、味わい以上の価値も一緒に楽しむことができます。
ぜひ、最後までご覧ください!
スペシャルティコーヒーとは?
改めてみなさんはスペシャルティコーヒーと聞いてどんなイメージをもたれるでしょうか?
スペシャルですから、「おいしそう」とか「香りがよさそう」というのはなんとなくわかると思います。
では、実際はどんなものなのでしょうか。
簡単に言うと、明確な評価基準により高得点が出された最高品質のコーヒーのことです。
日本では流通しているコーヒーの5%程度がスペシャルティコーヒーなので、非常に希少だということがわかると思います。
スペシャルティコーヒーが誕生した歴史・背景
スペシャルティコーヒーという言葉は1982年にアメリカで設立されたアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が起源とされています。
SCAAが設立される以前の1960年代、1970年代は今とはコーヒーの置かれている状況は少し違っていました。
当時コーヒーは中南米を中心に大量に生産され、アメリカやヨーロッパなどの欧米諸国に安価で買いたたかれていました。
その影響でコーヒーの生産農家は疲弊し、結果的にはコーヒーそのものの品質の低下を招いてしまったのです。
そして品質の低下により「コーヒー=まずいもの」という認識が広まってしまい、コーヒーの消費量自体も低迷してしまいます。
そのような世界的な情勢の中で産まれたのがSCAAであり、スペシャルティコーヒーという言葉でした。
SCAA設立以降、スペシャルティコーヒーの考え方は徐々に世界中に浸透していきます。
現在でもまだまだ十分ではないものの、生産国は質の高いコーヒーを生産し、消費国は質に応じて適正価格で買いつける必要性が求められるようになってきました。
スペシャルティコーヒーを中心としたコーヒー業界全体の発展は今後もより顕著に現れていくと考えられます。
安値で買いたたかれていたコーヒーを高値で取引していくために、スペシャルティコーヒーというブランドを作った!
というようなイメージです。
どれだけすごいか体感せよ!スペシャルティコーヒー以外のグレードも紹介
スペシャルティコーヒーの上に、世界最高の品評会で評価されたコーヒー豆、「COE」というものがあります。
これを頂点として、次にスペシャルティコーヒーがあります。
スペシャルティコーヒー以下でいうと、3つのグレードがあります。
プレミアムコーヒー
生産地や品質などが特定でき、加えてスペシャルティコーヒー協会(SCA)や日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が行うカッピングスコアと言われる採点で、76点~80点のものを指します。
COEは87点以上、スペシャルティコーヒー80点以上が必要です。
プレミアムコーヒーの中で日本で有名な豆の代表例としてブルーマウンテンがあげられます。
高価で取引されるブルーマウンテンですが、実はスペシャルティコーヒーと比べると評価はそこまで高くありません。
コモディティコーヒー
コマーシャルコーヒーとも言われ、国際市場であるニューヨークの相場で取引価格が設定されます。
安定供給を目的とした大量生産型のコーヒーで品質はあまり高くありません。
スーパーなどで買うことができるコーヒー豆のほとんどがこれにあたります。
ローグレードコーヒー
ローグレードは、安価でインスタントコーヒーや缶コーヒーに使われることが多い豆になります。
ロブスタ種という苦味やえぐみが強い品種をブレンドして加工されることが多いです。
ほとんどの場合、ネガティブな味を隠すために深煎りにしたり、強い甘みを加えるなどの加工がされて販売されます。
スペシャルティコーヒーの特徴3つ
スペシャルティコーヒーは、高品質なコーヒーですが、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
- 風味の評価が客観的
- トレーサビリティ
- サスティナビリティ
ひとつずつ解説します。
特徴①:風味の評価が客観的
スペシャルティコーヒーの香りや味わいは「Qグレーダー」と呼ばれる、厳しい試験を通り抜けた専門家によって行われます。
合格率は約4%しかなく、世界で約6,000人、日本では約180人しか取得できていない高難易度資格です。
世界のコーヒー従事者のわずか0.016%しか持っていない資格!
そんな専門家が、高い評価を出したコーヒー豆がスペシャルティコーヒーです!
特徴②:トレーサビリティ
トレーサビリティとは、その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのかが明確になっていることです。
最近話題のトレーサビリティですが、スペシャルティコーヒーの場合は、生産した農園から、管理方法、輸送方法など、生産して流通するまでの過程すべてを明らかにしています。
この仕組みのおかげで、品質の高いコーヒー豆を作った農園が明確になり以下のようなメリットが生まれました。
- 消費者が「高品質のコーヒー豆だ!」と安心して飲むことができる
- 生産者が高く評価され高値で買い取ってもらえる
スペシャルティコーヒーは、消費者も生産者もどちらにとってもうれしい仕組みになります。
特徴③:サステナビリティ
サスティナビリティとは、持続可能性という意味があります。
こちらも様々な場面で耳にしますが、スペシャルティコーヒーの世界にも取り入れられている考え方です。
スペシャルティコーヒーができた背景のところでもお話ししましたが、昔のコーヒー業界ではコーヒーを格安で買い叩き、消費者が安く楽しんでいました。
しかし、その影響で生産者が厳しい状況に追い込まれてしまったため、どうにかできないのかということで「スペシャルティコーヒー」が生まれたのです。
最近はスペシャルティコーヒーの成果により、生産者の賃金を含めた労働環境の改善が進んできております。
もちろんまだまだ十分な状況ではありませんが、コーヒー業界全体を持続可能な物にするという考え方が浸透しつつある状況です。
スペシャルティコーヒーの相場は?
スペシャルティコーヒーはほとんどが、100g当たり700円~1500円ほどの価格帯で販売されています。
一杯あたりに使うコーヒー豆の量を10gとすると、一杯あたり70円~150円ほどです。
コモディティやローグレードと比べるともちろん価格は上がりますが、私個人としては、ワインなどの他の嗜好品と比べるとかなりお手頃価格なのではないかと思っています。
【マニアック】スペシャルティコーヒーの評価基準
スペシャルティコーヒーには2つの採点方式があります。
- COE方式
- SCAA方式
それぞれ解説します。
COE方式
COE方式とは、カップオブエクセレンス(COE)で採用されている評価基準です。
評価項目が8つあり、それぞれ0~8点で採点します。
そこに、基礎点数36点の定数を足した合計100点満点とし、欠点豆があれば減点をするルールです。
0~8点をどうやってつけるかですが、「4点」が基準となり、それ以上だと評価が高いということになります。
8つの項目と基礎点数を合計し、80点以上だとスペシャルティコーヒーです。
ちなみに
87点以上だと「COEレベル」
90点以上だと「Presidential Award Coffee(称賛されるべきコーヒー)」
という扱いになります。
- Clean Cup
- Sweetness
- Acidity
- Mouthfeel
- Flavor
- Aftertaste
- Balance
- Overall
Clean Cup(クリーンカップ)
欠点や汚れなどの味覚要素がない状態。
クリアで透明感のあるコーヒーと言われます。
欠点豆をとにかくなくし、ネガティブな味わいがないことが重要です。
クリーンカップが優れていると、コーヒー豆本来の個性がはっきりと感じられるため、非常に重要な評価基準になります。
Sweetness(スイートネス)
チョコレートやピーチ、バニラなど甘さを想像するフレーバーを感じた場合に高得点が付きます。
スイートネス単体で点数が高いというよりは、クリーンカップが優れていた結果、甘いフレーバーを鮮明に感じられ、スイートネスが高得点になる流れです。
Acidity(アシディティ)
アシディティは、酸の品質を評価する項目です。
量とはまた別物なのが、ポイントになります。
- 酸がきれいか
- フレーバーを鮮明に感じるか
- コーヒーに明るさをもたらしているか
以上のような点で評価し、青さや変な刺激を感じなければ高得点になります。
Mouthfeel(マウスフィール)
マウスフィールは、コーヒーの質感の印象です。
具体的には以下のようなところを見ます。
- 粘性
- 密度
- 重さ
- きめ細やかさ
- 刺激
こちらは他の項目との掛け合わせで、個性を生かす質感になっているか。
ネガティブな質感で個性を邪魔していないか。
というのを判断します。
Flavor(フレーバー)
フレーバーは、味覚(甘味、酸味、苦味、塩味、辛味)と嗅覚(香り)を合わせた評価基準です。
その農園や精製方法、品種ならではのフレーバーが感じられるか。
曇りがかった味わいになっていないか。
というのを判断し、好意的な印象のフレーバーであればあるほど高得点が付きます。
Aftertaste(アフターテイスト)
アフターテイストは、コーヒーを飲んだ時のフレーバーの余韻が好印象かどうかを判断します。
主にクリーンカップとマウスフィールに強い影響を受けます。
雑味のないきれいな飲み口で口の中に残ると、アフターテイストは高評価です。
Balance(バランス)
コーヒーの味わいがバランスがとれたものになっているか。
何かが足りなかったり、逆に強すぎたりしていないか。
というのを判断します。
これはかなり難しい評価基準で、採点する人の感覚に左右されることが多いです。
イメージとしては、その豆の個性を生かすマウスフィールやアシディティになっているのかという感じだと思います。
Overall(オーバーオール)
これは飲んでいる人の個人的な嗜好を反映させる項目です。
飲んでいてわくわくするか。
単純に好きか嫌いか。
など、明確な基準がない、自由な採点が許されています。
SCAA方式
SCAA方式は、アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が定める方式です。
評価項目は10個あり、それぞれ6~10点の間で0.25点刻みで採点します。
そして、欠点豆があれば減点をする形です。
SCAA方式と同じく、合計得点が80点以上でスペシャルティコーヒーとして扱われます。
- Aroma
- Uniformity
- Clean Cup
- Sweetness
- Acidity
- Body(Mouthfeel)
- Flavor
- Aftertaste
- Balance
- Overall
COE方式と似ているのですが、違う点は「Aroma」「Uniformity」です。
Aroma(アロマ)
アロマとは、鼻で吸うことで感じられる香りのことです。
日本では上立ち香(うわだちか)とも呼ばれます。
挽いたばかりのコーヒー粉やお湯を注いだ際、スプーンでかき混ぜた際の香りなどが評価対象になります。
アロマとフレーバーの違い
違い① 味覚を含めるか
アロマ:嗅覚だけ
フレーバー:嗅覚と味覚
違い② 香りがどこからくるか
アロマ:外の香りを鼻でかぐ(上立ち香)
フレーバー:口の中から鼻に香りが流れる(含み香)
Uniformity(ユニフォーミティ)
ユニフォーミティは、味の均一性をはかる評価基準です。
同じコーヒーを複数のカップに用意し、すべてのカップが均一な味わいかどうかを評価します
おいしいコーヒーが飲みたかったら「スペシャルティコーヒー」一択!
「コーヒーは豆の品質が味の8割を決める」という言葉があります。
どんな飲み方をするにしても、普段のコーヒーをスペシャルティコーヒーにするだけで味わい深さは確実に増します。
さらに産地ごとの特徴も分かりやすいので、いろんなコーヒーを飲みながら違いを楽しむということもできます。
スペシャルティコーヒーに触れることで、あなたのコーヒーライフがより充実したものになると嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。