自宅でコーヒーを淹れ始めると次のような悩みがでてきます。
うーん。
苦いコーヒーが好きなんだけど、僕が淹れるコーヒーは酸味が強いんだよな。
このように狙った味がでないことが、コーヒー抽出の最初のつまずきポイントです。
また、次のような悩みもよく聞きます。
同じ豆を使っているのに昨日と今日で味が違う。
狙った味を安定して出し続けるとなると、さらに難易度は跳ね上がります。
- 狙った味を出す
- 狙った味を安定して出し続ける
私自身、初心者のころはこれらのポイントでつまづいてきました。
しかしその度に、抽出時の「お湯の温度」や「豆の挽き具合」を変えることで、少しずつ上達できたように思います。
今回の記事では、私が上記2つのポイント、、、
『狙った味を出す』『安定して出し続ける』といったポイントでつまずいたときに、どのように調整しているのかを紹介します。
同じような悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。
コーヒー抽出の大前提:『煎りたて』『挽きたて』『淹れたて』
コーヒーをおいしく飲むためには3つの大前提があります。
この3つを守らなければ、どれだけ抽出技術が上がってもおいしいコーヒーを飲むことができません。
- 煎りたて
- 挽きたて
- 淹れたて
この3つが何よりも大切なので、ひとつずつ解説します。
コーヒー抽出の大前提①:煎りたて
まずは『煎りたて』について。
煎りたてがおいしい理由は、コーヒー豆が劣化していないため、悪臭や刺激的な酸味が発生していないからです。
コーヒー豆は以下の要素で劣化します。
劣化原因 | 劣化スピード | 影響 |
---|---|---|
加水反応 | 管理が悪いと1~2日 | きつい酸味 |
ガスの放出 | 常温10~15日 | 香り・味が弱まる |
酸化 | 常温7~8週間 | 油の痛んだような香りと酸味 |
常温保存で『2週間以内』、冷凍保存で『1カ月以内』に飲むのが目安になります。
正しい保存方法はこちらの記事でご覧ください。
≫【自宅・簡単・安い】すべての劣化原因を避けられるコーヒー豆の最適な保存方法
コーヒー抽出の大前提②:挽きたて
次は『挽きたて』について解説します。
『煎りたて』の解説の際に、コーヒーは「水」「ガスの放出」「酸化」が劣化の原因だと言いました。
これらの劣化は、豆の状態でも進行するのですが、コーヒー粉にすることにより豆状態の数百倍のスピードで進行してしまいます。
なぜなら、コーヒー粉にすることにより、空気にふれる表面積が約600倍にふくれ上がるからです。
状態 | 劣化スピード |
---|---|
豆 | 10日~15日 |
粉 | 30分 |
通常、ガスの放出による劣化は「10日~15日」程度です。
しかし、コーヒー粉にすると、たった「30分」で劣化してしまうので、飲む直前に挽くことがポイントになります。
コーヒー抽出の大前提③:淹れたて
最後の大前提、『淹れたて』についてです。
コーヒーは抽出後も温度によって味が変わります。
高温:苦みが強い
低温:酸味が強い
コーヒーをおいしく飲める最低温度は『60度』と言われています。
できるだけ早く、淹れたてで飲むのが一番おいしいということです。
自宅で淹れるコーヒーを自分好みの味にしていく3つのステップ
コーヒーの味は様々な要素で変化します。
- 焙煎度
- 産地
- 精製方法
- 湯温
- メッシュ
- ドリッパー
- 粉とお湯の比率
初心者のうちに、これらすべての要素をコントロールすることは難しいです。
そこで今回はコントロールする要素を『焙煎度』『粉とお湯の比率』『メッシュ』に絞り、3つのステップで自分好みの味にする方法を紹介します。
ステップを試していく際には、次の2点は意識してください。
- 狙った味を出すために・・・
-
要素(変数)を1つずつ調整する
➜何によって味が変わったかを明らかにする - 安定して出すために・・・
-
毎回の抽出記録を残して、再現性を高める
それでは、ステップについて解説していきます。
『焙煎度』は、コーヒーの味をもっとも大きく変えます。
- 苦み好き➜中深煎り~深煎り
- 酸味好き➜浅煎り~中浅煎り
- バランス➜中煎り
深く焙煎すればするほど苦みが強くなるので、自分の好みに合わせて購入してみてください。
粉とお湯の比率を調整することで、コーヒーの濃さを決めます。
- 濃い目が好き➜『粉 1:お湯 14』
- バランス重視➜『粉 1:お湯 16』
- 薄めが好き➜『粉 1:お湯 18』
1回目の抽出はこれら比率から始めて、好みに合わせて調整してください。
ポイントは最初にも言いましたが、変数を1つに絞ることです。
今回の場合は、『粉とお湯の比率』以外は平均値で固定させます。
要素 | 条件 |
---|---|
産地 | 何でもいいのでひとつに絞る |
精製方法 | 何でもいいのでひとつに絞る |
湯温 | 86度 |
メッシュ | 中粗挽き |
ドリッパー | 何でもいいのでひとつに絞る |
コーヒーの苦み・酸味を変える変数はいくつかありますが、『メッシュ』による調整が一番簡単で効果があります。
- 苦みを強くしたい➜メッシュを細かく
- 酸味を強くしたい➜メッシュを粗く
『粉とお湯の比率』はステップ②で決めたものにし、他の変数は平均的な条件で固定しましょう。
要素 | 条件 |
---|---|
産地 | 何でもいいのでひとつに絞る |
精製方法 | 何でもいいのでひとつに絞る |
湯温 | 86度 |
メッシュ | 中粗挽き |
ドリッパー | 何でもいいのでひとつに絞る |
粉とお湯の比率 | ステップ②で決めたもの |
以上3ステップで『焙煎度』『粉とお湯の比率』『メッシュ』を決めていきます。
決めた数値をメモしておけば、安定して自分好みの味を再現できるので、ぜひ参考にしてください。
コーヒーの味をコントロールする7つの要素
前章では、変数ごとの細かい解説を飛ばして、手順だけを書きました。
ここでは、より理解を深めたい方に向けて、コーヒーの味を変える7つの変数すべてを詳しく解説していきます。
- 焙煎度
- 産地
- 精製方法
- 湯温
- メッシュ
- ドリッパー
- 粉とお湯の比率
要素①:焙煎度
最もコーヒーの味に影響を与えるのが『焙煎度』です。
長く煎ると『深煎り』と呼ばれる苦みの強い味わいになり、短く煎ると『浅煎り』と呼ばれる酸味の強い味わいになります。
他のどの要素よりも大きな影響を与えるので、まずは『焙煎度』に注目することが重要です。
要素②:産地
コーヒーは生育環境により味が変化します。
そのため、好みに合うコーヒー豆の産地を見つけておくと、よりコーヒーを楽しむことができます。
エリアごとの主な特徴としては以下の画像をご覧ください。
エチオピアやグアテマラなど、より細かい産地ごとのコーヒーの味の違いは『【35ヶ国まとめ】コーヒー豆の味を産地別にまとめてみた』を参考にしてください。
要素③:精製方法
精製方法もコーヒーの味を変える要素の一つです。
そもそも精製とは、コーヒーチェリーを生豆の状態に加工することを言います。
その加工の仕方によって4つのタイプに分けられ、以下のような風味の違いをもたらします。
名称 | 味わい |
---|---|
ナチュラル | 甘みのあるフルーティな風味 |
ウォッシュド | クリアで癖のない酸味 |
パルプドナチュラル | ナチュラルとウォッシュドの中間 |
スマトラ式 | ハーブを思わせる独特な風味 |
飲み慣れが必要ではありますが、コーヒー通は一口飲んだだけでどんな精製方法かがわかるので、明確な味の違いを生む要素です。
詳しくは『【4タイプ】コーヒーの精製方法による味の違いを解説』をご覧ください。
代表的な精製方法以外にも、新しく生まれた精製方法も紹介しています。
要素④:湯温
湯温によってコーヒーの味わいは変化します。
要素③まではコーヒー豆購入時に意識することでしたが、要素④からは抽出時に意識することです。
コーヒーを抽出する時の湯温によってコーヒーの味は下記のように変わります。
高い:90度~92度
普通:86度~89度
低い:82度~85度
要素⑤:メッシュ
コーヒー粉の粒の大きさをメッシュと呼び、このメッシュの大きさによりコーヒーの味が変わります。
最も手軽にコーヒーの味を調整できるので、自分の好みの味にしていく際に重要な要素です。
要素⑥:ドリッパー
ドリッパーはコーヒーの味を変える大きな要素になります。
なぜなら、ドリッパーによってコーヒーの抽出速度が異なってくるからです。
ゆっくり抽出すれば濃くなるし、
はやく抽出すれば薄くなります!
様々な会社が独自のドリッパーを制作しておりそれぞれに特徴があるのですが、今回は最もメジャーな3つのドリッパーを紹介します。
自分の好みに合わせて使い分けることが大切です。
要素⑦:粉とお湯の比率
粉とお湯の比率は、コーヒーの濃さを決める重要な要素です。
使う粉の量に対して、お湯の量が多くなればなるほどコーヒーは薄くなります。
まとめ:自分好みの最高の一杯を楽しもう!
今回の記事では、抽出時のつまずきポイント2つを取り上げました。
- 狙った味を出す
- 狙った味を安定して出し続ける
これらポイントを乗り越えるためには、まず3つの大前提を押さえることが大切です。
- 煎りたて:常温『2週間以内』冷凍『1ヶ月以内』
- 挽きたて:飲む直前に挽く
- 淹れたて:淹れたらできるだけ早く飲む(おいしく飲める温度は60度以上)
上記3つの前提を押さえながら、味をコントロールするために試行錯誤していくことが重要です。
味をコントロールするための要素はこちらになります。
- 焙煎度
- 産地
- 精製方法
- 湯温
- メッシュ
- ドリッパー
- 粉とお湯の比率
これら要素があることを理解した上で、まずは『焙煎度』『粉とお湯の比率』『メッシュ』を調整し、好みの味に近づけてみてください。
手順は以下のステップでやるのがおすすめです。
「変数を1つずつ変えること」「確定した数値を記録すること」を意識して、上記3ステップで調整しくことで、徐々に自分好みのコーヒーに近づけることができます。
コーヒーに頭を使うのはめんどうなように感じますが、私としてはぜひ挑戦してほしいです。
なぜなら、カフェはたくさんの人の口に合うように作られていますが、あなたが淹れるコーヒーはあなたの口だけに合わせて作ることができるからです。
ぜひ、オンリーワンのコーヒーを作っていただきたいと思います。