皆さんはネルドリップをご存じでしょうか?
コーヒーの淹れ方の一つ、というのは知っていても、具体的にどんな淹れ方なのかは知らないという方も多いのではないでしょうか?
ネルドリップについて調べてみると、ペーパードリップとは違ったロマンあふれる抽出方法と思っている人が多いようです。
今回はそんなネルドリップについて、以下の内容で解説します。
- そもそもネルドリップとは
- 味わいの特徴
- 必要な器具
- おすすめの淹れ方
- 手入れの方法
最後までご覧いただくと、ネルドリップにおすすめの焙煎度やコーヒー豆がわかるので、ぜひご覧ください。
ネルドリップとは?
ネルドリップとはコーヒーの抽出方法のひとつです。
よく「ドリップコーヒー」という言葉を耳にすると思いますが、一般的にドリップコーヒーといえば紙のフィルターを使ってコーヒーをろ過したものを指すことが多いです。
これに対してネルドリップのコーヒーでは、フィルターに紙ではなく「ネル」と呼ばれる布を使ってコーヒー液をろ過します。
ドリップコーヒー | ペーパー(紙) |
ネルドリップ | ネル(布) |
また、ネルとは「フランネル」という言葉を略した言葉です。
フランネルとは、コットンの薄い起毛の加工をされた布のことを言います。
蛇足ですが、この生地を使ったシャツのことをネルシャツと呼ぶそうです。
ネルドリップはフィルターに布を使っているため、ペーパードリップと違いフィルターを洗って繰り返し使うことができます。
ネルフィルターには表裏がある
ネルフィルターには、起毛している面と起毛がなくツルツルしている面があります。
一般的には起毛している面を裏、ツルツルしている面が表と言われています。
したがって抽出の際はツルツルしている表面を外側にして使用するというケースが多いで
す。
一方で、起毛している裏面を外側にあえてむけるような抽出の方法もあります。裏表を逆にして淹れることで、コクやまろやかさが強調された味わいになります。
つまりネルフィルターには裏表はあるものの、向きに正解があるわけではありません。
自分の好みやその日の気分に合わせてフィルターの向きを調整してネルドリップを楽しむことが正解です。
【濃厚】ネルドリップの味わいの特徴
ネルドリップの味わいを語るうえで大切なキーワードが一つあります。
それは「コーヒーオイル」です。
コーヒーオイルとはその名の通り、コーヒー豆の中に含まれる油分のことを指します。
自宅でコーヒーを淹れている方はイメージしやすいと思いますが、コーヒー豆を保管している容器を見ると、油のようなものがたくさんついていると思います。
それがまさにコーヒーオイルです。
ペーパードリップでは、抽出の際にコーヒーオイルは紙にほとんど吸着してしまうのでコーヒーオイルの味わいをほとんど感じることができません。
しかし、ネルドリップの場合フィルターの目がペーパーよりも粗いためろ過されずに一緒に抽出されるのです。
ネルフィルターの表裏で味わいが変わるという話がありましたが、起毛の面を外側に向けることで抽出されるコーヒーオイルの量が増えます。
そのため味わいが変化するのです。
ペーパードリップも奥が深いですがネルドリップも同じくらい、もしくはそれ以上に奥が深い淹れ方なのです。
ネルドリップはコーヒーオイルのコクやまろやかさを感じることができる飲み方!
ネルドリップに必要な3つの器具
ネルドリップする際に特別に必要なものは以下の3つの器具です。
- ネルフィルター
- ネルフィルターをとりつけるハンドル
- ネルドリップ用のサーバー
ネルフィルターはそのまま使用するのではなく、専用のハンドルを取り付けてセットで使用します。
また、ドリッパーなどは使用せずに専用のサーバーを使用してネルフィルターを安定させた状態で使用します。
ネルドリップで淹れる前の事前準備
新しいネルフィルターを使用する際には事前準備が必要です!
ネルフィルターは新品の状態では、表面に糊や漂白剤などが付着している場合があるため取り除く必要があります。
そのために以下の2つのステップを行いましょう。
事前準備①:煮沸
まずは糊や漂白剤などの不要物を落とすために煮沸します。
時間は約20分ほどがおすすめです。
煮沸の際、コーヒーの粉や出がらしをいっしょに入れることでネルがコーヒーとなじみやすくなる効果も期待できます。
事前準備②:水ですすぐ
煮沸後、水でよくすすぎます。
何回かすすいで最後は水気がなくなるようにしっかり絞ります。
このとき、ネルフィルターに穴が開いたり破れたりする場合もあるので注意してください。
ネルドリップの正しい淹れ方3ステップ
ネルドリップでおいしいコーヒーを淹れるための3ステップを解説します。
- ネルフィルターを用意する
- コーヒー粉を用意する
- お湯を注ぐ
ひとつずつ説明します。
ステップ①:ネルフィルターを用意する
保管していたネルフィルターを水で洗いよく絞ります。
このとき、水気をしっかりと切るのが重要です。
このひと手間でおいしいコーヒーを淹れやすくなります。
あとはネルフィルターにハンドルを着けて、サーバーにセットすればフィルターの用意は完了です。
ステップ②:コーヒーの粉を用意する
コーヒーの粉の分量や挽き方に関しては、豆の種類にもよりますがペーパードリップとほぼ同じ考え方でいいと思います。
量の目安としてはコーヒーカップ1杯(160ml)あたり10gです。もし2杯分淹れたい場合は20gといった感じです。
ただ、あくまで目安ですので味を見ながら粉の量や挽き方を調整して自分流を確立していくのも一つの楽しみ方だと思います!
最後にネルフィルターにコーヒー豆を入れたら、ハンドルをトントンとたたきながら豆を平らにならしてあげてください。
ステップ③:お湯を注ぐ
最後にお湯を注ぎます。
お湯の入れ方に関しても、最初はペーパードリップで入れるのと同じ考え方で差支えないと思います。
お湯は沸騰したものをそのまま使わずに82℃程度に冷ましたものを使うことで、えぐみなどのネガティブな味が出にくいです。
ネルドリップの正しいお手入れ・保管方法
使い終わったネルフィルターはコーヒーが出なくなるまで水洗いするか、煮沸しましょう。
コーヒーが残っていると、コーヒーに含まれる油分がフィルターで目詰まりを起こしてしまいます。清潔に保つためにもコーヒーはしっかり落とす必要があります。
洗い終わったら、水を張ったタッパーにフィルターを浸して冷蔵庫で保管します。
水はこまめに必ずこまめに取り替えてください。少なくとも1日に1回。理想は朝昼晩の3回です。
ネルドリップに合うコーヒー豆の特徴
ネルドリップは、コクのあるまろやかなコーヒーと相性がいいです。
そのため、フレンチローストやフルシティローストなどの深煎りコーヒー豆を使ってみてください。
濃厚でビターなコーヒーを味わうことができるので、苦み好きにはたまりません。
具体的な産地を上げると、インドネシアのマンデリンをフレンチローストに焙煎したコーヒー豆がおすすめです!
まとめ
今回はネルドリップについてご紹介しました。
ネルドリップは手入れに手間はかかりますが、ペーパードリップでは出すことのできない深い味わいを楽しむことができるロマンあふれる抽出方法です。
ポイントさえ押さえていれば自宅でも楽しめますので、ぜひ気軽に一度試してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。