エアロプレスという道具をご存じでしょうか?
注射器のような非常に独特なフォルムのコーヒーの抽出用の器具です。
他の抽出方法と比べると比較的新しい器具ですが、実はエアロプレスの世界大会が行われるなど、世界的に注目されている抽出方法になります
今回はそんなエアロプレスについて以下の内容で解説します。
- エアロプレスとは?特徴についても
- エアロプレスの2パターンの抽出方法
- エアロプレスとフレンチプレスの違い
- エアロプレスのメリット4選
- エアロプレスのデメリット2選
- エアロプレスに必要な道具3つ
- おいしいエアロプレスのレシピ・淹れ方
エアロプレスは、柔らかくてクリアな酸味と甘みを引き出してくれる抽出方法です。
どの焙煎度もおいしく淹れられますが、特に浅煎りをおいしく淹れる際におすすめになります。
エアロプレスとは?その特徴を解説!
エアロプレスとは、2000年代以降にアメリカのエアロビー社によって作られた比較的新しいコーヒーの抽出方法です。
エアロビー社はアウトドアグッズの会社になります。
中でも社名になっている「エアロビー」という名前のフリスビーが世界一飛ぶフリスビーとして有名です!
ちなみにエアロビーの飛距離の最高記録は400mを超え、正式に世界記録として認定されているそうですよ!
そんなエアロビー社が持つ、空気力学の知識を活かして作られたのがエアロプレスという抽出方法になります。
大きな注射器のような見た目がとてもユニークで、楽しみながらコーヒーの抽出ができること間違いなしです。
エアロプレスの抽出原理とそれによる味わいの特徴
エアロプレスの一番の特徴は「圧力を使ってコーヒーを抽出すること」です。
マキネッタやエスプレッソなど、圧力を使う抽出方法はほかにもあります。
しかし、火力や電力を使わない抽出方法の中では、圧力をかけて抽出するエアロプレスはかなりレアな存在です。
使い方もシンプルで必要な器具が少ないため、初心者さんにもおススメしやすい抽出方法です。
圧力を使い短時間で抽出するため、味わいは「柔らかくてクリアな酸味と甘み」を引き出すことができます。
フルーティな酸味を引き出しながら刺々しさをなくすことができるため、特に浅煎りを淹れる際におすすめです。
エアロプレスの2つの抽出方法
エアロプレスには抽出パターンが大きく分けて2つあります。
- スタンダード式
- インバート式
スタンダード式とインバート式の違いは、抽出の際のフィルターの向きです。
スタンダード式
スタンダード式では、器具を通常の通りの向きで使います。
この時、器具のフィルター部分を下にして使用する形です。
それによって、コーヒーの粉にお湯を注いだ瞬間にフィルターからコーヒー液がポタポタと流れ始めて抽出が始まってしまいます。
必然的に全体の抽出時間が短くなるので、仕上がりは比較的あっさりしたコーヒーになりやすいです。
スタンダード式のデメリットとしては、お湯を注いだ瞬間から自動的に抽出が始まってしまうので抽出時間のコントロールが難しいことです。
その結果、味が安定しやすいというエアロプレスの良い部分が発揮しにくくなります。
インバート式
インバート式は反対にフィルター部分が上に来るようにして抽出する方法です。
フィルターが上に来るため、コーヒーの粉にお湯を注いでしっかりと混ぜ合わせてから抽出をスタートさせることができます。
混ぜ合わせる時間を調整することで、あっさりめにしたりしっかりめのにしたり、味わいのコントロールがしやすいのがメリットです。
また毎回同じ条件で抽出できるので、自分好みのコーヒーのレシピを見つけてしまえば安定して同じ味を出しやすいのもいい点でしょう。
デメリットとしては、フィルターが上を向いているため抽出をする際には器具全体を上下反転させる工程が必要になることです。
この工程をはさむことで、お湯とコーヒー粉の攪拌が起きてしまい、過抽出になってしまう可能性があります。
エアロプレスとフレンチプレスの違い
エアロプレスと同じように、専用の器具1つだけでほぼ完結する抽出方法でフレンチプレスという物があります。
どちらも抽出時に押し込む動作をするなど似ている部分が多いように感じますが、実はコーヒーの仕上がりは全く違ったものになります。
ここではエアロプレスとフレンチプレスの違いを2つご紹介します。
違い①:フィルター
エアロプレスとフレンチプレスではフィルターの仕様が異なります。
エアロプレスは「メタルフィルターとペーパーフィルター」を好みで切り替えることができるのに対し、
フレンチプレスは「メタルフィルターしか」使えません。
メタルフィルターの場合、ペーパーよりも目が粗いためコーヒー豆に含まれるオイルやコーヒー豆の細かい破片などもコーヒーといっしょに抽出されます。そのため、まったりした独特な舌触りのコーヒーに仕上がります。
ペーパーフィルターの場合は、ペーパーにオイルや細かいコーヒー豆の破片が吸着します。
そのため仕上がりとしてはスッキリとした印象が強くなります。バランスの良いコーヒーを楽しみたいときにはペーパーフィルターがおススメです。
違い②:圧力
エアロプレスでは抽出の際にコーヒー豆に圧力が加わりますが、フレンチプレスでは圧力はほとんどかかりません。
圧力をかけることで効率よくコーヒー豆の成分を引き出すことができるため、エアロプレスでは短時間でしっかりした味わいのコーヒーを抽出することが可能です。
味わいの違い
違い①と②により、下記のような味わいの違いが生まれます。
エアロプレスのメリット4選
エアロプレスで淹れると4つのメリットがあります。
- 誰が淹れても味が安定する
- 抽出が早い
- しっかりとした味わいに
- 片付けがらくちん
ひとつずつ解説します。
メリット①:誰が淹れても味が安定する
エアロプレスの抽出はとてもシンプルです。
ものすごく大雑把に言うとコーヒーの粉にお湯を入れて混ぜた後に、空気の力でコーヒーの液体だけ押し出すだけになります。
とてもシンプルなので、あまりコーヒーを淹れた経験がなくてもやり方さえ覚えてしまえば安定しておいしいコーヒーを淹れることができます。
メリット②:抽出が早い
エアロプレスの抽出はとてもシンプルなので、慣れてくると1分くらいで抽出が終わります。
他の抽出方法では3分から5分くらいかかることを考えると、かなり早い抽出時間です。
ちょっとした隙間時間にサクッと本格的なコーヒーを淹れることができるので、日常的によくコーヒーを飲む方にもおススメしやすい抽出方法だと思います。
メリット③:しっかりした味わいのコーヒーを抽出できる
エアロプレスは抽出のときに空気の圧力を使います。
必然的にコーヒー豆にも圧力がかかるので、物理的にコーヒー豆の中の成分がお湯に溶け出しやすくなります。
そのため圧力を使わないドリップコーヒーなどと比べると、短時間でもしっかりした味わいのコーヒーを抽出可能です。
しかしやり方を間違えると、雑味やえぐみなどのネガティブな味わいもたくさん出ることになるので、記事後半で解説する淹れ方の部分を参考にしてください。
メリット④:片付けが楽
実は一番大事なポイントかもしれませんが、エアロプレスは片付けがとても楽です。
他の抽出方法では、使う器具が多くて洗い物が増えてしまったり片付けが大変なものが多いですが、エアロプレスは専用の抽出器具さえあればコーヒーを淹れることができるので、洗い物がとても少なく済みます。
さらに抽出後のコーヒー豆も、空気の力を使って押し出せば塊になって出てくるのでそのままゴミ箱に捨ててしまえば処理完了です。
エアロプレスに必要な準備物3つ
エアロプレスでコーヒーを入れるために最低限必要な道具は次の3つです
- エアロプレス
- エアロプレス用のペーパーフィルター
- コーヒーカップ
あとはコーヒー豆とお湯さえ用意すればエアロプレスでコーヒーを抽出できます。
プラスアルファであるとより良いものとして以下の3つのものも挙げられます。
- タイマー
- 電子スケール
- 温度計
この3つがあることで時間、重さ、温度を毎回同じ条件にして抽出ができるのでコーヒーの味が安定してくれます。
おいしいエアロプレスのレシピ・淹れ方
コーヒー豆(中粗挽き):30g
お湯(80℃):120ml
お湯(90℃):60ml
今回のレシピではインバートスタイルでの抽出を行います。
フィルター部分にペーパーフィルターを貼り付けます。このときペーパーフィルターを少し濡らすことで密着度をあげておきます。
その後、エアロプレスのフィルター部分以外を組み立てて、器具に書いてる数字が逆さまになるようにカップ(もしくはサーバー)の上にエアロプレスを置きましょう。
このとき下に電子スケールを置いておくことで、後でお湯を注ぐときに何ml注いだのか分かりやすくなるのでおススメです。
エアロプレスの準備ができたら、最後に中粗挽きにしたコーヒー豆を入れて準備完了です。
エアロプレスの器具を回しながらお湯(80℃)を120ml入れます。この時お湯を壁に沿わせてゆっくりと注ぐのがポイントです。
※ステップ②~④は、30秒ほどで行います。
エアロプレスに付属のパドルでお湯とコーヒー豆を攪拌します。10回パドルを丁寧に回せばOKです。
フィルター部分のパーツを取り付けて、エアロプレスをひっくり返します。
この時ひっくり返したままだとコーヒーの抽出が始まってしまうので、エアロプレスの上部分(プランジャー)を少しだけ上に引っ張ってあげるとお湯が下に落ちずにとどまってくれます。
ステップ②~④で30秒、ステップ⑤では40秒待機します。
合計で、1分10秒まで待ちます。
プランジャーをゆっくりと20秒間かけて押し込みます。
「プシュ」という音が鳴ると、抽出完了の合図です。エアロプレスをゆっくりとカップから外しましょう。ここまでで抽出の工程は完了です。
最後にお湯(90℃)で60mlを抽出したコーヒー液に注いで完成です。
うまく淹れることができれば、雑味が少なくて上品な甘みや酸味が強調されたおいしいコーヒーが仕上がると思います。是非1度試してみてください。
再現性の高い抽出方法がエアロプレス!
今回はエアロプレスについてご紹介しました。
比較的新しい抽出方法ということもあって、他の抽出方法と比べると認知度は少し下がるかもしれません。しかし抽出の手軽さや、必要な道具の少なさなどを考えると初心者の方にもおススメしやすい良い道具だと個人的には思っています。
まだ試したことがないというかたはこの機会に一度試してみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました。