・自宅でなかなか美味しいコーヒーが淹れられない
・毎回淹れるコーヒーの味が違う
このように思ったことはありませんか?
実は私も、今回紹介する「4:6メソッド」という方法を知るまでは、長年の経験がないと美味しいコーヒーを淹れられないと思っていました。
ただ、この「4:6メソッド」を勉強し、実践してみたら、想像以上に美味しいコーヒーが淹れられて自分でも驚いています。
なぜできたのかを考えてみると、4:6メソッドは「感覚」ではなくすべてを「数字」でコントロールしているからです。
プロが「感覚」でやってきたことを世界チャンピオンが「数字」に落とし込んだ。というイメージですね!
今回は、温度計やスケールがあれば、誰でもおいしいコーヒーが淹れられるようになる4:6メソッドについて徹底的に解説していきます。
- 4:6メソッドとは
- 抽出フェーズごとの役割
- 準備物
- 具体的な手順(ホット・アイス)
- おいしく淹れるためのコツ
- 注意点
4:6メソッドを理解したうえで他の抽出技術を覚えると、かなり応用がきくのでぜひ覚えていってください!
※コーヒー豆の量やお湯の量を入力すると、自動でレシピを作成してくれるシミュレーターを作成しました。
ご活用くださいませ。
世界チャンピオンが考案した4:6メソッドとは?
4:6メソッドとは、世界チャンピオンである粕谷哲氏が「誰でも簡単に美味しいコーヒーを淹れられる」ことをコンセプトに考案したハンドドリップの手法です。
粕谷哲氏は、2016年に開催された「World Brewers Cup 2016」で、日本人初の決勝進出を果たし、そしてアジア人で初めての世界チャンピオンになったバリスタです。
彼が考案した4:6メソッドは、従来のようなお湯を注ぐ技術によって味を調整するのではなく、お湯の量や配分などを全て「数字」でコントロールすることで、味の調整を可能にした革新的な方法と言われています。
いまでは世界中のトップバリスタをはじめ、コーヒーの愛好家から愛用、支持されているハンドドリップ手法です。
4:6メソッドの基本的な考え方|抽出フェーズごとの役割について
4:6メソッドは、コーヒー粉の15倍のお湯を使い抽出します。
その際に、お湯の総量を前半4割:後半6割に分けて、コーヒー全体の味わいを作っていくのが特徴です。
1.抽出に使用するお湯の量を決める
使用するコーヒーの粉の15倍のお湯を用意します。
例)コーヒーの粉20g⇒お湯の量300g
2.総湯量を40%と60%に分ける
1.で算出した総湯量を「4:6」に分割します。
例)総湯量が300gであれば、40%が120g、60%が180gという具合です。
3.最初の40% | 甘さと酸味のバランスを調整
総湯量の40%のお湯を使い、コーヒーの酸と甘さを調整します。
1投目の湯量を少なくすると「甘さ」が強調され、多くすると「酸」が強調され、スッキリした味わいに仕上がります。
4.残りの60% | 濃度の調整
残りの60%のお湯を使い、注ぐ回数によってコーヒーの濃度の調整をしていきます。
60%のお湯を、1回で注ぐと「薄く」、2回に分けて注ぐと「濃く」、3回に分けて注ぐと「より濃く」仕上がります。
4:6メソッドで準備するものは6つ!
4:6メソッドに必要なものは以下の6つです。
4:6メソッドは、ハリオV60というドリッパーをベースに考えられたレシピです。
もし同じものがない場合は、今持っているドリッパーで試してみてください。
ドリップスケールは、量と時間を計測しながらコーヒーを淹れられるため便利ですが、ない場合は今持っているキッチン用のスケールとキッチンタイマー(もしくはスマホのストップウォッチ機能)で代用も可能です。
グラインダーは、コーヒー豆を粉にする際に使用する器具ですが、もし持っていない場合は、お店で「粗挽き」の粉を購入してください。
手順の前に!4:6メソッドでおいしく淹れるための3つのコツ!
詳しい手順を説明する前に、4:6メソッドでおいしく淹れるための3つのコツを紹介します。
- メッシュは「粗挽き」
- 湯温は焙煎度に応じて
- とにかく計測あるのみ
4:6メソッドの粉の挽き具合は?「粗びき」が基本
4:6メソッドでは、コーヒーの粉は「粗びき」が基本です。
粗目に挽くことで、コーヒーのおいしい成分のみをさっと抽出し、透き通った味わいを作りやすくなります。
なぜなら、コーヒーの成分は「酸味→甘み→苦み・渋み」の順で抽出されるので、前半のおいしい酸味と甘みのみを引き出せるからです。
逆に細目に挽くと、レシピ通りの抽出ができず、味わいにも影響がでます。
挽き具合については、粕谷氏監修のもと開発されたドリッパー「V60透過ドリッパー02・粕谷モデルの説明書」に記載されていますので、参考にしてください。
4:6メソッドをする際のお湯の温度は?焙煎度合いに応じて決める
お湯の温度は、コーヒー豆の焙煎度合いに応じて決めていきます。
推奨されている焙煎度合いに応じたお湯の温度は以下の通りです。
焙煎度合い | 浅煎り | 中煎り | 深煎り |
お湯の温度 | 93℃ | 88℃ | 83℃ |
基本的に、抽出に使用するお湯の温度が高いほど、コーヒー豆の成分は抽出されやすくなります。
そのため、浅煎りの場合はお湯の温度高く、深煎りの場合は低めで抽出するのが基本です。
4:6メソッドも、基本的にその考えのもとお湯の温度が決められています。
できるだけ豆の焙煎度合いに応じた近い温度のお湯を準備するようにしてください。
4:6メソッドの1丁目1番地!「数字」で管理する重要性
4:6メソッドの何が画期的だったのか。
それは「感覚」ではなくすべての工程を「数字」でコントロールしたことです。
コツ①②で挽き目やお湯の温度が重要だといいましたが、これらも数字で管理が可能になります。
挽き目:コーヒーミルで何クリックか
湯温 :焙煎度に合わせて何度にするか
また、次の章で具体的な手順を紹介しますが、そこでもすべての工程を数字で管理しています。
すべてを数字で管理するというのは面倒くさいかもしれません。
ただ、守りさえすればプロと近い味わいを楽しめるというのは、初心者にとってはうれしいことです!
4:6メソッド の具体的な淹れ方5ステップと注意点を解説
これまでは、4:6メソッドの大事なポイントをひとつずつ解説してきました。
ここからは、これまで解説してきた内容を踏まえながら、4:6メソッドを使った具体的な淹れ方と注意点を解説していきます。
一番基本になるレシピを紹介しますので、慣れてきたら自分にあった応用をしてみてください!
簡単に4:6メソッドで淹れたい人は、下のシミュレーターをお使い下さい!
4:6メソッドの全体像
では、世界チャンピオンの粕谷氏が推奨する具体的な手順を紹介していきます。
具体的な手順は以下の5ステップです。
- お湯を準備する
- 豆を20g準備する
- 器具を湯通しする
- コーヒーの粉をフィルターにセットする
- お湯を注ぐ
今回は粗挽きでもしっかり濃く抽出できるベーシックな淹れ方を紹介していきます。
最初の40%は「ベーシック」、残りの60%は「さらに濃く」をイメージして解説していきます。
ステップ①:お湯を準備する
粉の量20gの15倍のお湯(300g)用意します。
浅煎りの場合は93℃、中煎りの場合は88℃、深煎りの場合は83℃前後のお湯を準備します。
水は軟水(硬度30〜50)がおすすめです。
お湯は器具を湯通しする際にも使いますので、少し多めに準備しておくとよいです。
ステップ②:豆を20g準備する
コーヒー豆を20g準備します。
しっかりスケールではかり、準備するようにしましょう。
その後、コーヒー豆を「粗挽き」にしておきます。
ステップ③:器具を湯通しする
次に、ドリッパーにペーパーフィルターをセットした状態でお湯を注ぎ、それぞれの器具の湯通しをおこないます。
湯通しは、ペーパーフィルターの匂いを取り除いたり、サーバーやドリッパーを温め、抽出したコーヒーを保温する効果があります。
コーヒーは温かいうちから、冷めていくのをゆっくり味わうのが楽しみ方のひとつです。
保温効果を高めることで、時間をかけてコーヒーを楽しめます。
このときに、飲む用のカップも一緒に温めておくとより保温効果が高まり、より長い時間コーヒーを楽しめます。
ステップ④:コーヒーの粉をフィルターにセットする
次に、ステップ②で準備した「粗挽き」のコーヒーの粉をフィルターにセットします。
ここでのポイントは、コーヒー豆を挽いた後の粉の状態で20g用意することです。
豆の段階で20gあっても、粉にした段階で20gに満たないことは少なくありません。
粉をドリッパーにセットする段階で必要な量の粉があるか、しっかり計るようにしましょう。
ステップ⑤:お湯を注ぎます
お湯を注いでいきます。
今回は60gのお湯を、5回に分けて、合計300g注いでいきます。
◇お湯を注ぐ際のポイント
- 全体を通して
-
お湯を注ぐ際は「の」の字を描くように、粉全体にお湯が行き渡るようにすること
- 1投目
-
蒸らしがポイント
粉全体がぬれるよう粉全体にお湯をかけていきます。
その後は、45秒まで蒸らします。 - 2投目~
-
注いだお湯がほとんど落ちきってから次のお湯を注ぐようにしましょう。
また、45秒間隔でお湯が落ちきるようにコーヒーの挽き目を調整しましょう。45秒より長い→挽き目を粗く
45秒より短い→挽き目を細かく
抽出モデルにあるように、3分30秒(かかっても4分)経った段階で、全てのお湯が落ちきっていることが理想です。
もし3分30秒経っても、まだお湯がドリッパーの中に残っている場合は粉が細かすぎる可能性があります。
一方で3分30秒も経たずにお湯が落ちきっている場合は、粉が粗すぎる可能性があります。
お湯が落ちきる時間をみながら粉の挽き目を調節するようにしてください。
4:6メソッドで美味しいアイスコーヒーの淹れ方
これまで、4:6メソッドでドリップコーヒーを淹れる方法を解説してきました。
アイスコーヒーにも対応できるの?と思った方もいると思います。
こちらでは、4:6メソッドで急冷式のアイスコーヒーの淹れ方を紹介していきます。
- お湯を準備する
- 中挽きの粉を20g用意する
- ドリッパー・ペーパーを湯通しする
- サーバーに氷を準備する
- お湯を注ぐ
ステップ①:お湯を準備する
お湯は4:6メソッドでホットコーヒーを作る時の半分の量を準備します。
お湯の温度は90℃以上がおすすめになります。
なぜなら、アイスコーヒーはきりっとした苦みの深煎りが相性抜群だからです。
深煎りコーヒーのビターな感じや苦味をしっかり引き出すためには、お湯の温度は高めで淹れる必要があります。
あまり苦味などを出したくない方は、80℃くらいの少し低い温度で淹れても問題ありません。
ステップ②:中挽きの粉を20g用意する
ドリップコーヒーの場合は「粗挽き」でしたが、アイスコーヒーの場合は、コーヒーの苦味や甘みなどの情報を引き出すために「中挽き」を使用します。
ステップ③:ドリッパー・ペーパーを湯通しする
ドリップコーヒーと同様、ドリッパー・ペーパーを湯通しします。
アイスコーヒーの時は、サーバーの湯通しは不要です。
ステップ④:サーバーに氷を準備する
サーバーに氷を準備します。
氷は80g前後あると良いです。
自宅で作った氷もいいですが、コンビニやスーパーで販売されている純氷は保冷期間が長くおすすめです。
ステップ⑤:お湯を注ぐ
今回はベーシックに、150gのお湯を5回に分けて注いでいきます。
◇お湯を注ぐ際のポイント
- 全体を通して
-
お湯を注ぐ際は「の」の字を描くように、粉全体にお湯が行き渡るようにすること
- 1投目
-
蒸らしがポイント
粉全体がぬれるよう粉全体にお湯をかけていきます。
その後は、40秒まで蒸らします。 - 1.2投目
-
- コーヒーの味をしっかり出すため、1投目、2投目の後に、ドリッパーを持ち上げて少し揺するか、もしくはスプーンなどで粉をかき混ぜてください。
- この作業は1投目、2投目のみで、3投目以降は不要です。
- 2投目~
-
2投目以降は、30秒間隔でお湯を注いでいきます。
ドリップコーヒーの時とは違いコーヒーの粉が細かいため、お湯は全て落ちきらなくても大丈夫です。
その後、サーバーに入ったコーヒーを氷と混ぜ合わせるよう攪拌させて完成です。
約180g〜200gのコーヒーが出来上がります。
ドリップコーヒーを淹れる時と同様に、甘さが感じられるアイスコーヒーを作りたい場合は、1投目のお湯の量を20gにすると良いです。
浅煎りのような酸を強調したすっきりしたアイスコーヒーを淹れたい場合は、1投目のお湯の量を40gにするとすっきりしたアイスコーヒーに仕上がります。
4:6メソッド | FAQ
ここまで、4:6メソッドで美味しいコーヒーの淹れ方を解説してきました。
こちらでは、4:6メソッドでコーヒーを淹れる時に多くの方がもつ疑問について解説していきます。
4:6メソッドは、ハリオV60以外のドリッパーでも美味しく淹れられるのか?
A.美味しく淹れられます。
推奨はハリオV60ですが、カリタウェーブでも同じ淹れ方ができます。
ハリオV60をもっていない方は、いまお持ちのドリッパーで試してみてください。
検証動画
【検証】4:6メソッドは「HARIO V60」以外のドリッパーでも通用するのか?
4:6メソッドで淹れると薄く感じるけどどうしたらいい?
A.コーヒーの粉の量を増やして調整する
コーヒーの粉の挽き目を細かくするという手もありますが、単純にコーヒーの粉の量を増やして対応する方法もあります。
コーヒーの粉の量を増やす方が、基本的な抽出スピードを変えることなく淹れられるため、とり入れやすいです。
4:6メソッドは万能か?デメリットを教えて
A.細引きで作るコーヒーに生み出せる強烈なフレーバーは、4:6メソッドでは生み出せない。
4:6メソッドの良い部分は、すっきりクリーンなコーヒーの風味を明確にしてくれることです。
その味わいのインパクトは飲み終えた後に感じられます。
飲んだ瞬間にはじけるようなインパクトがあるコーヒーを淹れようとすると細引きにする必要があり、粗挽きで淹れる4:6メソッドでは出せない味わいです。
まとめ | 4:6メソッドで自分好みの味を見つけてみよう!
ここまで、4:6メソッドで美味しいコーヒーの淹れ方から、コツや注意点を解説してきました。
4:6メソッドの一番の特徴は「再現性がある」ということ。
そこで大事になるのが、「使う粉の挽き目」と「お湯の量」と「時間」を守ることです。
この3つを守ることで、誰でも簡単に美味しいコーヒーを淹れられます。
まずはベーシックな方法から取り入れ、その後自分好みの味になるよう少しずつお湯の量を調整してみてください。
必ず自分好みの美味しいコーヒーが見つかりますよ。